富士通と東海国立大学機構、生成AIによる診療データの活用で治験候補患者の選定を効率化

画像:富士通株式会社より引用

富士通株式会社と国立大学法人東海国立大学機構は2025年5月23日、新薬開発など先進医療を行うための治験候補患者の選定にあたり、生成AIを使用した実験による効率化を確認した旨、発表しました。

実証実験は、2024年9月~2025年3月にかけて、名古屋大学医学部附属病院および岐阜大学医学部附属病院が保有する約1,800人分の乳腺外科患者の診療データを対象に実施されました。診療記録には医師の所見などの非構造化データが多く含まれ、従来は個別に目視確認が必要でしたが、生成AIの導入により約90%の精度で構造化に成功。さらに、過去に実施された乳がん関連の治験結果をもとに構造化されたデータを用いて、スクリーニングを実施したところ、AIが抽出した42名の候補者のうち27名が実際に治験の適格患者に該当することが判明。これにより、治験候補の選定に要する時間をおよそ3分の1に短縮できる可能性が示されました。

東海国立大学機構はらは今後、対象疾患や参加施設の拡大を通じて精度向上を目指すほか、米国の治験プラットフォームを手がけるParadigm Health社との連携も視野に入れ、医療データを活用した新たな治験エコシステムの構築を進めるとのこと。富士通は分析に投入したクラウド型医療データ活用基盤「Healthy Living Platform」をはじめ、生成AIサービスやLLMを用いた診療データの利活用を一層推進する見通しです。

参照生成AIを用いた診療データの活用により治験候補患者の選定に貢献|富士通株式会社