画像:尼崎市より引用
兵庫県尼崎市は5月15日、富士通株式会社および東洋大学と共同で進めてきた「特殊詐欺検知AI」に関する研究の実証実験結果を公表し、AIによる特殊詐欺検出率が82%に達した旨、公表しました。
3者による研究は、2022年度からスタートしました。詐欺の電話を受けた高齢者の心理的変化を人工知能(AI)で分析し、被害を未然に防ぐことを目的としたもので、今回の発表が最終段階として位置づけられる実験です。3者によると、実験を2024年11月、市内に住む高齢者22人を対象に実施したところ、AIによる詐欺電話の検知精度が82%に達しました。
検出メカニズムは、固定電話の近くに設置された脈拍や呼吸数などのバイタルサインを計測し装置とAIを組み合わせ、会話中に生じる緊張や不安といった心理的負荷を解析するものです。還付金の案内をよそおったり、市役所員を名乗り個人情報を引き出そうとする問いかけに対し、高齢者が感じた不安を検出し、高い精度でのリアルタイム検出が確認されました。なお、詐欺電話に対して家族に自動で通知するシステムも開発されています。
尼崎市による取り組みが、既に特殊詐欺に効果を発揮しているとも読み取れるデータもでています。同市では2024年の特殊詐欺認知件数は前年度比27件減少し、兵庫県内で最も大きな減少幅を記録しました。実験に参加した富士通は本システムの製品化に向けた検討を開始し、県全体への展開も予定しています。

