自治医科大学、病気や障害を支えるピアサポートのAI支援システム実証実験

栃木県の自治医科大学は2025年8月、地理的条件や環境の制約から支援を受けにくい当事者などを対象にした、AIによる相談サポートシステムの実証実験を開始しました。

説明によると、実験に投入されるシステムは、病気や障害を抱える当事者同士が互いに支え合う「ピアサポート」の活動を学習したAIが、孤立状態にある障害当事者らを対象に、SNSアプリでやりとりするという内容です。システムは中央大学と都内のIT企業が開発したもので、医療的ケア児を持つ保護者らの協力のもと運用されます。また、医師や開発企業の関係者が協力者宅を訪れ、使用感や改善点について意見を聞き取りも行っています。

実験について、当事者のひとりは「これまで心の中に秘めていた悩みをどのように相談すればよいか分からなかったが、この取り組みにより相談しやすくなった」とコメントしています。大学側は、実証実験で得られたAIと利用者のやり取りのデータを分析し、心理的負担の軽減効果などを検証する方針です。

病気や障害に悩む当事者や家族のなかには、社会とのつながりが希薄化し孤立状態にある人も多くいます。人手による支援には限界があり、AIを活用した相談や傾聴、つながり支援の可能性が模索されます。

参照栃木 自治医科大学 AIを活用「ピアサポート」の実証実験|NHK NEWS WEB