宇都宮大学と早稲田大学、太陽光余剰電力をEVバス充電に活用実験

宇都宮大学と早稲田大学の研究グループはこのほど、宇都宮市や関東自動車株式会社の協力のもと、太陽光発電の余剰電力をEVバスの充電に活用する、電力の地産地消実証実験の開始を発表しました。

実験は普及が進む太陽光発電の逆潮流によるエネルギー供給を、地域で消費する目的から行われます。近年、太陽光発電を導入する家庭や事業者が増えていますが、発電量が増える日中には家庭や事業所で使い切れなかった余剰電力が送電網に逆流する「逆潮流」が発生しています。送電網は通常、発電所から家庭に電力を供給するために設計されているため、この逆潮流が増加すると、電圧の不安定化や設備への負荷増大といった課題が生じます。現状、電力会社はこうした負担を防ぐため、太陽光発電の出力制御を行うことがあり、せっかく発電された再生可能エネルギーが有効活用されない状況が発生しています。

両者は今回、こうした課題を解決するため、地域ごとの太陽光発電量や電力需要をリアルタイムで可視化する技術を開発したとしています。両者はこれをEVバスの充電スケジュールに取り入れることで、昼間の余剰電力を積極的にバスの充電に充て、出力制御を避けつつエネルギーの有効活用を目指すとのこと。早稲田大学はデータ分析やEVバスの電力消費予測技術を担当し、宇都宮大学は交通流シミュレーションを通じてEVバスの走行状況の分析を担当。関東自動車株式会社はEVバスの運行や充電試験を行うことで、電力の地産地消を図ります。

宇都宮市では、2050年のカーボンニュートラル実現に向け、再生可能エネルギーの地産地消や公共交通の電動化を推進しています。実証実験はその取り組みの一環として期待されるもので、研究グループは「地域内で発電されたエネルギーを地域で活用することで、CO2排出削減につながる」として期待感を示しました。

参照太陽光発電の余剰電力 EVバスの動力として活用 実証実験へ|NHK NEWS WEB