ピッキングロボットとは?おすすめのメーカー10選!種類や導入事例まで

ピッキングロボットとは、倉庫や工場で指示書に基づいて適切なモノを取り出す機器です。
今回は、ピッキングロボットの種類やメリット・デメリット、おすすめのメーカーについてわかりやすく解説します。
本記事を読めばピッキングロボットのメリットとデメリットを把握でき、多角的な視点から導入を判断できるでしょう。ピッキングロボットの導入を検討中の方は、ぜひご覧ください。

ピッキングロボットとは

ピッキングロボットとは、商品の部品の選別や移動、取り出しなどを自動的に行う機械です。主に工場や物流センターなどで活用されており、業務効率化に貢献しています。
ピッキングロボットの導入により、人件費や人為的ミスの削減につながるため、近年注目を集めています。

ピッキングロボットの種類

ピッキングロボットの種類として、以下の3つが挙げられます。

  • AGV/無人搬送ロボット
  • AMR/自律走行搬送型ロボット
  • ピースピッキングロボット

それぞれのロボットは、ピッキング方法や特徴が異なります。これから、それぞれの概要や特徴を紹介します。

AGV/無人搬送ロボット

AGV/無人搬送ロボットは、磁気テープやランドマークなどの誘導体によって決められたルート上で搬送作業を行う機械です。この特徴から、AGVは特定の区間で同じものを大量かつ素早く搬送する必要がある製造現場に向いています。
またAGVは走行ルート上の障害物を避けられないため、従業員が障害物を移動させる必要があります。

AMR/自律走行搬送型ロボット

AMR/自律走行搬送型ロボットは、自動で経路探索したうえで目的地まで走行する機器です。倉庫を一周するとセンサーが自動で走行ルートを決定するため、事前に磁気テープなどの環境構築を行う必要がありません。
また3Dカメラやレーザーセンサーを搭載しているAMRでは、障害物の自動検出が可能です。

ピースピッキングロボット

ピースピッキングロボットは、商品を部品ごとに自動でピッキングできる機械です。AI技術が制御システムで使われており、各種センサから得た商品の形状や位置などの情報をもとに、効率のよい箱詰めを自動的に計画して実行できます。

ピッキングロボット導入のメリット

ここでは、ピッキングロボットを導入するメリットを解説します。自社へ導入する必要性を検討するためにも、それぞれ確認しましょう。

生産性が向上する

ピッキングロボットを導入するメリットとして、生産性の向上が挙げられます。ピッキングロボットの導入により、従来ピッキング作業と別作業を兼任していた従業員が別作業に集中できるようになるため、早く商品を出荷できるようになるからです。
また、ピッキングロボットは基本的に24時間365日稼働し続けられるため、深夜帯や夏期休暇期間でもピッキング作業を進められます。そのため、従業員のみで稼働する場合よりも生産性を大きく向上できます。

人為的ミスを削減できる

ピッキングロボットを導入すれば、人為的ミスの削減につながります。人間の場合は、慣れや思い込みによって人為的ミスが発生してしまいますが、ピッキングロボットはプログラムによって動きが細かく制御されているので、作業上のエラーを最小限に抑えられます。

省スペースで運用できる

ピッキングロボットを導入すれば、省スペースで運用できるメリットがあります。従業員が手作業でピッキングする場合には、複数人で作業できる広い場所を確保する必要があります。

一方で、ピッキングロボットを導入することで、余分なスペースを確保する必要がなくなり、限られた製造現場を最大限に活用できるようになったのです。小さな工場で作業をしている自営業の方はピッキングロボットを導入すると、多くの商品を一度に取り扱えるようになるでしょう。

人件費の削減につながる

ピッキングロボットの導入により、人件費の削減につながります。従来複数人の従業員で行っていたピッキング工程をロボット1台で担えるようになるので、ピッキング工程に充てていた人件費が浮くからです。
長期的に見て人件費を削減したい場合には、新しく人を雇うよりもピッキングロボットの導入がよいケースもあります。

ピッキングロボット導入のデメリット

続いて、ピッキングロボットを導入するデメリットを3つ解説します。ピッキングロボットのマイナス面も理解しておきましょう。

業務が停止する恐れがある

社内システムのエラーなどにより、ピッキングロボットが動かなくなり、関連業務が停止する恐れがあります。
ピッキングロボットの復旧が遅れると、手作業でピッキングを行う必要が出てくるため、売上が一時的に減少する可能性があります。そのため、業務が停止する可能性を想定して業務オペレーションをピッキングロボット導入前に戻せる状態を整えておくとよいでしょう。

導入費用が高くなる

ピッキングロボットの購入費用は1,000万円以上かかるケースもあり、気軽に導入できるものではありません。またピッキングロボット用に現場の環境を構築するうえでも、費用がかかります。
ピッキングロボットの導入費用を抑えたい場合は、補助金の利用を検討するとよいでしょう。ピッキングロボットの導入で利用できる主な補助金は、以下の2つです。

  • 事業再構築補助金
  • ものづくり補助金

それぞれの補助金制度を活用し、ピッキングロボットの導入にかかるコストを削減しましょう。

従業員の教育が必要になる

ピッキングロボットを導入するには、従業員の教育が必要です。操作方法を現場の従業員に教育しなければ、適切な操作ができないためロボットのエラーが多発し、むしろ作業効率が落ちてしまうからです。
従業員の教育には時間がかかるため、ピッキングロボットの操作方法のマニュアルを作成しておくとよいでしょう。

ピッキングロボットの活用事例5社

ここでは、ピッキングロボットの活用事例を5つ解説します。自社の運用を活かすためにも、それぞれの活用事例をチェックしましょう。

Amazon.co.jp

大手ECサイトを運営しているAmazon.co.jpは、倉庫に商品が入荷されると1つずつ商品コードを読み取って、空いている棚に収納する非効率な作業をしていました。そこで、Kiva Systemsの自動搬送ロボットを買収しました。
その結果、商品のピックアップから出荷までを人力で実施する場合と比較して、作業時間を4分の1に短縮できました。Amazonの13の倉庫で約3万台が稼働していますが、1倉庫当たり約25億円のコストの削減に成功しています。

株式会社ファンケル

化粧品や健康食品の製造・販売を行う株式会社ファンケルは、物流センターの生産性向上のためにピッキングロボットの導入を検討していました。コンテナの隅にある商品を取り出す際に位置姿勢の都合から一般的なロボットでは把持できず、工程を止めて人力で対応する効率の悪さに課題を感じていたからです。
そこで、Mujin社が提供する「MujinRobot」を2台導入。MujinRobotは、3Dビジョンで商品の位置姿勢を把握して、必要に応じて自動で専用のハンドに切り替えられるため、導入により隅にある商品のピッキング作業も自動化できるようになりました。

株式会社ユニクロ

衣料品の製造・販売を行っている株式会社ユニクロは、物流システム会社と提携して倉庫の自動化を目指すシステム開発を進めていました。しかし、衣料品は柔らかくサイズや形状はさまざまなため、従来のピッキングロボットでの対応は困難でした。
そこでIHI物流産業システム社の「Skypod」を導入。Skypodは柔らかい衣服を掴むこともでき、前後・左右・上下と縦横無尽に移動できるので短期間で衣服の搬送が自動化できるようになりました。

アクスル株式会社

事務用品などの通信販売を行うアクスル株式会社は、規模が広い倉庫でハンディーターミナルを持ちながら台車を押す形式でピッキング作業をしていたため、業務を進めるのに時間がかかっていました。
そこでラピュタロボティクス社の「ラピュタPA-AMR」を導入し、荷降ろし専門のスタッフとピッキングスタッフを配置して作業の分業化を実現させています。作業の分業化を実現させた結果、従来の2倍の生産性を実現しています。

三菱倉庫株式会社

物流事業や不動産開発などを営む三菱倉庫株式会社は、新しい物流センターの業務効率の向上を目的に、株式会社フジテックスの「自動棚搬送ロボットEX」を導入しました。その結果、入荷・出荷・棚卸の作業に置ける移動距離を大幅な削減に成功しています。

おすすめのピッキングロボットメーカー10選

ここでは、おすすめのピッキングロボットメーカーを10社紹介します。それぞれのメーカーが扱うピッキングロボットも簡単に解説するので、参考としてご覧ください。

株式会社オカムラ

株式会社オカムラは、ピッキング・搬送システムや自動倉庫など一貫した物流システムの構築を支援するメーカーです。同社の「Right Pick」は、3本の指と真空吸着カップによる吸引で、ビニール袋など柔らかい素材でも確実にピッキングできるので、幅広い業種で活用されています。

株式会社Mujin

株式会社Mujinは、産業用ロボットの導入障壁の解消を目的に独自のロボットを開発するメーカーです。同社の「MujinRobot」は、人の目にあたる3Dビジョンや胴体にあたるロボットアーム、手にあたるロボットハンドなどから得る情報を統合して判断するので、臨機応変な対応が可能です。

Industry Alpha株式会社

Industry Alpha株式会社は、ロボットやAI技術の活用により倉庫や工場のスマート化の実現を目指すメーカーです。同社の「Kasumi」は、ピッキングと搬送の両方の自動化が可能なロボットです。「Kasumi」に付属しているタブレットは、初見でも使用できるようにわかりやすく設計されています。

コグネックス株式会社

コグネックス株式会社は、高品質かつリーズナブルな製品を提供し続けているメーカーです。同社の「ビジョンガイドロボット」は、形状や大きさ、質感などでライン上の製品を正確に特定できる画像処理システムを搭載しており、システムの情報から適切な商品を区別しパッケージラインへ搬送できます。

株式会社日立製作所

株式会社日立製作所は、一人ひとりの豊かな社会を実現するために産業用ロボットを開発するメーカーです。同社の「自律型ピッキングロボットシステム」には「AIROBO」と呼ばれる自律制御ソフトウェアが搭載されています。AIROBOにより、事前ティーチングなしで、商品種類や位置、距離の認識が可能です。

東芝インフラシステムズ株式会社

東芝インフラシステムズ株式会社は、蓄積してきた基盤技術とノウハウを組み合わせて継続的に顧客の想いを形にするメーカーです。同社の「ピースピッキングロボット」は、各種センサーで商品を認識し、事前に登録されていない商品の誤取り出しを防げます。

川崎重工業株式会社

川崎重工業株式会社は、日本で最も早く産業ロボットの生産・販売を手掛けたメーカーです。同社の「YF002N」は、可搬質量2キロで最大リーチが300ミリなので、狭いスペースでの運用や小さな商品のピッキング作業で活用されています。

Rapyuta Robotics株式会社

Rapyuta Robotics株式会社は、マシンとマシンをつなげて人々の生活を豊かにすることをモットーに産業用ロボットの開発を手掛けるメーカーです。同社の「ラピュタPA-AMR」は稼働データを可視化できるため、ピッキングロボットのオペレーション課題が把握できるメリットがあります。

アラインテック株式会社

アラインテック株式会社は、製造業や建設業、農業など幅広い業界に活用できる産業用ロボットを開発しているメーカーです。同社の「ケースローダーALシリーズ」は、商品をケースに詰める作業と、番重やコンテナを上から段積みするためのピッキングロボットです。

三明機工株式会社

三明機工株式会社は、最新のロボット技術と機械・電機を融合させニーズに合わせて最適なシステムを提供するメーカーです。同社の「3次元ランダムピッキングシステム」は、バラ積みされた商品を3次元で認識し、自動的に動作軌道を決定できるためピッキングの効率化が可能です。

まとめ

ピッキングロボットを導入すれば、生産性が向上したり、人件費の削減につながったりと、さまざまなメリットが得られます。
一方で、多額な初期費用と従業員の教育時間がかかるデメリットがあるのも事実です。ピッキングロボットのメリットとデメリットから総合的に判断し、導入を進めましょう。