6軸ロボットとは、6つの関節を持った産業用ロボットです。
今回は、6軸ロボットでできることやメリット・デメリット、おすすめのメーカーについてわかりやすく解説します。
本記事では6軸ロボットのティーチングメーカーについても紹介するなど、導入に必要な情報が満載です。6軸ロボットの導入を検討中の企業は、ぜひご覧ください。
目次
6軸ロボットとは
6軸ロボットとは、関節が6つあるアーム型の産業用ロボットです。
6軸ロボットは関節と、関節間をつなぐリンクから構成されています。X・Y・Z軸にそれぞれ回転軸と直動軸が1つずつあり、合計で6つの自由度を持つため、3次元空間でも位置や姿勢を自由に変えて作業できるのです。
そのため、6軸ロボットは塗布や溶接などさまざまな作業に対応できる高機能な産業用ロボットであるといえます。
6軸ロボットでできること
6軸ロボットは、以下のようにさまざまな動きができます。
- 商品を挟んで移動させる
- マグネットで鉄製製品を運搬する
- スプレーで塗布する
- 溶接を行う
- ネジを締める
- 穴あけ加工をする
- 水を噴射し洗浄する
- 研磨を行う
- リベットを打つ
6軸ロボットは自由度が高いため、同じ位置のものだけでなく、位置がズレているものでも挟んで運搬できます。そのうえ、一定方向からのみでなく多方面から作業できるため、立体物でも塗布できるのです。
6軸ロボットを導入・活用するにはティーチングが必要
6軸ロボットを導入し、うまく活用するためにはティーチングが必要です。
ティーチングとは、産業用ロボットが適切な動作を自動的に実行できるようにする作業です。関節やエンドエフェクタの位置や角度、動きを6軸ロボットに覚えさせます。
ティーチングには主に4種類あります。
- オンラインティーチング
- オフラインティーチング
- ダイレクトティーチング
- AIによるティーチングレス
実際にリモコンなどでロボットを操作し、その動作内容を覚えさせるのがオンラインティーチングです。一方オフラインティーチングは、操作のためのプログラムをあらかじめ作成し、ロボットにインプットする方法です。
6軸ロボットを活用するためには、熟練者の動きを再現できるように的確にティーチングを行う必要があります。
ティーチングに関して詳しくは下記記事をご覧ください。
参照ロボットティーチングとは?種類や資格・人材確保の方法を紹介
6軸ロボットを使用するメリット・デメリット
6軸ロボットの導入を成功させるうえでは、使用するメリットとデメリットの理解が重要です。ここでは、6軸ロボットを使うメリットとデメリットをそれぞれ解説します。
メリット
6軸ロボットにはたくさんのメリットがあるため、多くのケースで活用されています。6軸ロボットの主なメリットとして、以下の3つが挙げられます。
- 作業効率がよくなる
- 細かい動きができる
- スペースをとらない
それぞれの解説を踏まえて、自社へ導入する必要性を検討しましょう。
作業効率がよくなる
6軸ロボットは同じ作業を正確に遂行できます。 例えば、繊細さが求められる小さなネジの挿入工程でも、作業効率を落とすことなくプログラムに従って正確に行えます。
手作業であれば疲労によるヒューマンエラーや、熟練度の違いによって作業効率が異なりますが、6軸ロボットであれば作業効率がよくなるのです。
細かい動きができる
6軸ロボットは6つの関節を自在に動かせるため、人のように細かい作業もできます。例えば、薄いシートを掴んだり、細かいピンを抜き取ったりするような、高度なスキルが必要な作業も担えます。
スペースをとらない
6軸ロボットのなかには小さな設置面積でも導入できるものがあり、スペースを広くとれない場合にも活躍します。6軸ロボットは複数の関節を曲げられるため自由度が高く、狭い場所でも姿勢を柔軟に変えられるからです。
面積が限られていても、6軸ロボットを複数台導入すれば、作業効率の最大化を目指せます。
デメリット
6軸ロボットにはたくさんのメリットがある一方で、デメリットも存在します。ここでは、6軸ロボットのデメリットを詳しく解説します。導入を検討しているのであれば、マイナス面も理解しておきましょう。
有識者によるメンテナンスが必要
どのようなロボットにおいても言えますが、6軸ロボットも導入するだけで活躍し続けるわけではありません。安定して運用し続けるためには、メンテナンスが必要です。
故障してしまっては、修理するためにたくさんの時間や費用がかかります。そうならないために、定期的なメンテナンスが欠かせないのです。
メンテナンスはロボットに関する豊富な知識がないと難しいため、有識者に依頼する必要があります。メンテナンスできる人材が社内にいない場合は、外部の有識者に依頼しなければならず、メンテナンス費用が高額になる傾向があります。
おすすめ6軸ロボットメーカー5選
ここでは、おすすめの6軸ロボットメーカーを5社紹介します。メーカーそれぞれの特徴や取り扱われている6軸ロボットを解説するので、参考としてご覧ください。
株式会社デンソーウェーブ
株式会社デンソーウェーブでは、6軸ロボットの「VS-050/060」を取り扱っています。本体はコンパクトにもかかわらず、スピードとパワーを兼ね備えた6軸ロボットです。
ほかにも、ロングリーチの「VMB-2515/2518」や超コンパクトサイズの「VP6242」など、多種多様な6軸ロボットを手がけています。
川崎重工株式会社
川崎重工株式会社では、「カワる、サキへ。」をモットーにロボットの開発を行っています。
6軸ロボットの「Rシリーズ」のうち、小型汎用ロボットの「RS013N」は最新の制振制御によって高スピードでも制度を落とさず動作できるため、Rシリーズのなかでもトップクラスのスピードを誇っています。
平田機工株式会社
平田機工株式会社では、「AR-Vシリーズ」を展開しています。AR-Vシリーズのロボットは、いずれも高速かつ高性能な6軸ロボットです。
メンテナンス負担を軽減できるバッテリーレスタイプで、ロボット言語による動作プログラムの作成が不要です。6軸ロボットのデメリットの軽減を実現したのが、AR-Vシリーズなのです。
ファナック株式会社
ファナック株式会社は、ロボットに関する事業を幅広く手がけている企業です。
同社の6軸ロボットには、ミニロボットの「LR Mate 200iD」や大型ロボットの「Robot R-2000iD」、塗装ロボットの「Robot P-40iA 」などがあります。さまざまな用途に合った6軸ロボットが提供されているのです。
ABB株式会社
ABB株式会社は、スイスに本社を置く多国籍企業です。さまざまな市場でトップクラスのシェアを誇り、産業用ロボットにも力を入れています。
同社では「IRBシリーズ」を展開しており、アームの最大リーチが3メートル以上もある超大型の6軸ロボットなど、多種多様な6軸ロボットを開発しています。
6軸ロボットの導入事例
ここでは、6軸ロボットの活用事例を5つ解説します。自社の運用を活かすためにも、それぞれの活用事例をチェックしましょう。
Vetipak社
Vetipak社は、化粧品や食品の梱包・製函・包装・封止を行っている会社です。従来、人手で行っていましたが、作業者の経験の違いで包装の質に差があり、生産の安定化を目指してロボットの導入を検討しました。
そこで、Vetipak社はオムロン株式会社やB Electrical Engineering社の協力のもと、6軸ロボットの「Viper」を含むロボット統合ソリューションを導入。これにより、高品質な包装の量産や自働化を実現したのです。
NTN株式会社(磐田製作所)
NTN株式会社(磐田製作所)では、自動車用のCVJ(等速関節)を組み立てています。難易度が高く負荷も大きい作業であるため、作業環境の改善を急いでいました。しかし、部品の形状や取りつける位相がバラバラで、ロボットや自動化システムの導入が遅れていたのです。
そこで、株式会社安川電機など複数の技術者と協力し、形状が不安定な部品を安定供給できるシステムを開発。システムの導入により、60%の省人化を実現しました。さらには、部品チェック機能によって組み立てエラーを防げるようになり、品質の向上にもつながりました。
株式会社HCI
創業当時、株式会社HCIは、ケーブルやワイヤー、チューブなどの柔軟材の加工・組み立て・検査用機械を製造するメーカーでした。しかし、リーマンショックの影響により需要が激減したため、ロボットシステムの開発に乗り出します。
例えば、川崎重工株式会社の6軸ロボット「RS003N」や独自開発の搬送ユニットを組み合わせて、飲料自動陳列ロボットシステムを開発しました。
同社のロボットシステムは、スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどの小売業にて活用が期待されています。
五洋食品産業株式会社
五洋食品産業株式会社は、冷凍ケーキが主力商品の食品製造メーカーです。
従来、ケーキ型へクッキングシートを手作業で貼り付けていましたが、人手不足が見込まれており、ロボットの導入を検討していました。
そこで、オムロン株式会社の6軸ロボットである「Viper 650」を導入しました。これにより、商品の安全性や品質を確保しつつ、人員の削減に成功したのです。
株式会社別川製作所
株式会社別川製作所は、配電盤や制御盤、FAシステムなどの盤製作を行う会社です。
生産性の向上を目指し板金バラシ工程や仕分け工程にロボットの導入を進めていましたが、自動化するためにはたくさんの課題がありました。例えば、金属の光沢や切削油による光の乱反射で金属の形状が認識しにくかったり、部材が変種変量であるためハンドリングが難しかったりなどです。
そこで安川電機株式会社の「MH110」や「MH50-Ⅱ」を導入し、これらの工程の自動化を実現したのです。板金バラシや仕分け工程の危険な作業をロボット化できたため、作業者の安全性も確保できました。
6軸ロボットの導入方法
6軸ロボットは自社主導で導入することも可能ですが、効率よく導入を進めたい場合にはロボットSIerの活用がおすすめです。ロボットSIerとは、ロボットを使ったシステムの導入を提案したり、設計や組み立てを行ったりする企業です。
ロボファンでは、ロボットに精通した専門スタッフが自社のニーズに合ったロボットの提案から、設計・生産・納品・アフターサポートまで一貫して行うロボットSIerを紹介しています。そのため自社にロボットのノウハウがなくても、ロボットの導入を確実に成功させられます。
プロに任せてスムーズに6軸ロボットを導入し、自社の自動化と効率化を実現しましょう。
産業ロボットのおすすめティーチングメーカー
6軸ロボットはティーチングが不可欠です。そこで、産業用ロボットのおすすめティーチングメーカーを6つ紹介します。
株式会社FAプロダクツ
株式会社FAプロダクツは、関東で最大級のロボットシステムインテグレーターです。取引実績は400社以上、製造実績は10,000台以上と経験も豊富です。
同社では、ティーチングを行える人材の輩出にも力を入れており、産業用ロボットの教示に関する特別教育を実施しています。
株式会社MIRAI-LAB
株式会社MIRAI-LABは、名古屋を中心にロボットのティーチングを行っている会社です。
同社は、川崎重工株式会社やファナック株式会社、株式会社安川電機などのロボット製品を中心に、アーク溶接やスポット溶接、ハンドリングロボットのティーチングを手がけた実績があります。また、業種は車両関係から食品、医療業界まで幅広く対応しています。
株式会社ユニテック・アルファ
株式会社ユニテック・アルファは、工場向けの生産設備の製造を行っているメーカーです。電気制御技術や専門性の高い知識を持っており、総合的にサポートしてくれます。
また、企画設計から製作、納入に加えアフターサービスを提供しており、ロボットのティーチングにも参入しています。
株式会社安川電機
株式会社安川電機では、産業用ロボットの開発のみならず、システムのセットアップやティーチングを行っています。
同社では、ダイレクトティーチングでアームを直接握ってポイントを覚えさせる人協働ロボットも開発しています。
ファナック株式会社
ファナック株式会社は、世界に270以上の拠点を置き、産業用ロボットの累計出荷台数は100万台を超えるなど、信頼性の高い会社です。
世界の工場の稼働率向上を目指し、「サービスファースト」の精神でファナック株式会社の製品を生涯保守すると明記しています。ロボットやロボットマシン、FA、IoTのサービスを提供しています。
ロボットティーチングも行っているのはもちろん、現場の方に向けてロボットティーチングの学習コースも用意しています。
株式会社NUT
株式会社NUTは、産業用ロボットのティーチングが専門のプロが集まりできた企業です。
レベルの高いティーチングをし、ロボットの性能を最大限に活かしてもらえます。独自のティーチング理論に基づいて、効率・使いやすさ・耐久性を複合的に考え、ティーチングを実行します。
また、株式会社デンソーウェーブや株式会社安川電機、ファナック株式会社、ANB株式会社など、メーカーを問わず対応しているのも強みの一つです。
まとめ
6軸ロボットを導入すれば、作業効率が向上したり、熟練者にしかできなかった細かい作業を任せられたりと、さまざまなメリットが得られます。
一方で、有識者によるメンテナンスやティーチングが必要で、費用がかかるデメリットがあるのも事実です。6軸ロボットのメリットとデメリットから総合的に判断し、導入を進めましょう。
特に、6軸ロボットの導入を効率よく進めたい方は「ロボファン」がおすすめです!
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