AI前方監視カメラで事故リスクをリアルタイム分析、日立らが英国の鉄道で実験

画像:株式会社日立製作所より引用

株式会社日立製作所は2024年7月19日、グループ会社の日立レール社がイギリスの鉄道関連会社Network Rail(ネットワークレール社)、London North Eastern Railway(LNER社)、CrossTech(クロステック社)と共同で、人工知能を搭載した鉄道車両用のFFCCTV(Front Facing CCTV、前方監視カメラ)による環境的要因を原因とする事故防止のための監視システム実験を開始したと発表しました。

日立製作所によると、日立レールらが取り組むFFCCTVは人工知能によるカメラセンサー技術を搭載し、運行中の車両から取得されるデータをリアルタイムで分析を行うカメラです。同社らは、これをLNER社が運行するAZUMAと呼ばれる車両に搭載し、路線や周囲の自然環境を観測。線路に張り出した樹木や落ち葉、地盤沈下など、潜在的に危険と思しき状態を自動検出し、メンテナンスが必要な場所を特定することで、安全性の向上とメンテナンスの効率化を図るとしています。

AI搭載のFFCCTVを導入する理由は、植物関連の事故を抑止するためです。日立製作所によると、イギリス南部地域では植物関連の事故に関連する費用が年間300万ポンドに及んでいるとのこと。日立レールはこれを未然に防ぐため、ネットワークレール社とともに技術開発を進めてきました。日立製作所は今回の実験を通して、自動化されたより正確な監視を可能にし、英国の中小企業によるイノベーションを支援するとしています。

参照日立、英国イースト・コースト本線における鉄道車両で次世代のデジタル技術による前方監視試験を開始