株式会社日立製作所は2024年5月16日、株式会社NTTデータやキヤノンマーケティングジャパン株式会社とともに、同社亀有総合センターにて人工知能を活用した空調最適化実験を実施、エネルギー消費量平均16%減など実施結果を公表しました。
日立製作所ら3社による実験は、各社が持つAIやIoTソリューションを組み合わせ、オフィスビルにおける空調をより最適化するという内容です。具体的には、キヤノンMJが提供する映像解析ソフトウェア「Crowd People Counter」で人流データを観察。日立製作所の持つIoTビル管理ソリューション「BuilMirai」が室内温度データや空調制御データとともに一元管理し、これをNTTデータのAI空調最適化サービス「HUCAST」に提供することで、「HUCAST」が将来の室温環境を想定した「先回り」の空調管理を行う内容です。
オフィスビルの空調システムは従来、予め準備された設定温度に向かって動作する「後追い制御」と呼ばれる手法でした。しかし、「後追い制御」では設定温度に達するまで相当時間を要する上に、設定温度は季節単位で固定されることが多く、エネルギーの浪費が課題となっていました。
3社による空調制御は、こうした問題点に強力にアプローチするシステムです。実験によると、亀有総合センターでは3社によるAI空調管理システムにより、エネルギー消費量平均16%減を達成。さらに快適性(PMV値)が一般的に快適な環境とされる範囲(-0.5から+0.5)の維持に成功しました。
3社らは今後、各システムの精度を向上し、ビルにおけるエネルギー最適化と快適性を両立。サービス化を目指すとしています。
参照AIを活用した空調最適化により、ビルの快適性と省エネの両立を実証/株式会社日立製作所