米国ロサンゼルス郡はこのほど、人工知能を駆使してホームレス化しそうな人を行政側が特定し、予防や救済を支援する野心的な実証実験を開始しました。
米国では現在、ホームレス数の急増が社会的な課題となっています。2021年から続く新型コロナ問題やインフレによる家賃高騰などが原因で、米連邦政府当局は2023年12月、米国内のホームレス数において前年度比12%の増加を発表。支援が緊急に必要であるとの声明が出しました。
ロサンゼルス群はこうした事態を解決するため、いわばホームレス対策的な人工知能を開発、実証実験をしています。人工知能は行政機関が保有する情報を参照し「ホームレスになりそうな人」を特定というもの。行政機関が保有する緊急医療の訪問記録、精神健康危機の介入、薬物乱用治療、逮捕記録などを学習したモデルで、人工知能が特定した個人に対して、金銭、法律、医療など各分野において介入を試みるという取り組みです。
ロサンゼルス群の取り組みが、個人情報やプライバシーの問題を内包する点は否めません。しかし、公表時点で、実験参加者の反応はおおむね好意的で、安定性と幸福感が向上が確認されているとのこと。
日本を含め、行政機関は一般的に、補助金・助成金・減免など各種制度を知る者が自ら利用を表明することで利用できる「申請主義」により成り立っています。この点、ロサンゼルス群の実証実験は行政側が特定しコンタクトを取るため、「自ら助けを求めない(あるいは制度を知らない)人々」にも支援の手を差し伸べる利点が期待されます。
参照Los Angeles Pioneers AI-Powered Initiative to Predict and Prevent Homelessness
参照全米ホームレス数が過去最高に カリフォルニア州は驚異的な数字

