75km離れた病院に血液製剤を空中配送、伊藤忠が実証実験

画像:伊藤忠商事株式会社より引用

総合商社の伊藤忠商事株式会社は2023年5月25日、ドローンを使った血液製剤の空中輸送技術の社会実装に向け墨東病院やANAホールディングスの協力のもと、茨城県稲敷にあるドローンフィールドKAWACHIにて実証実験を開始しました。

ドローンを駆使した空中配送実験は既に多く行われていますが、血液製剤は配送中の温度管理が必要で、これまでドローンによる長距離運搬は困難とされてきました。そこで伊藤忠社は今回、ドイツのWingcopter GmbH社が開発するeVTOL型ドローン「W198」を実験に投入しました。

eVTOLとは、固定翼機並のスピードを維持しつつ垂直離陸可能な高性能ドローンです。一般的なドローンのスピードは約70km程度ですが、「W198」の最高速度は時速110kmにも及ぶとのこと。同社は医療器具メーカーから提供を受けた保存容器に2種類の血液製剤を梱包し「W198」に積載。KAWACHI~墨東病院間約75kmの移動を自動運転走行により検証する計画です。

血液製剤の空中配送は緊急性が求められる場合もあり、インフラ整備が長年の課題となっていました。無人空中配送が社会実装されれば、医療分野に大きな貢献が期待されます。

参照独最新eVTOLドローンを用いた血液製剤の輸送に関する実証実験の実施