人工知能に政治を委ねる「人工党」、デンマークで署名集める

デンマークのアーティスト集団「Computer Lars」はこのほど、人工知能に政策立案を全面的に委ねることを党是とした「人工党」を結党し、総選挙を目指す考えを明らかにしました。

Computer Larsによると、人工党はDenmarkの投票システムを最適化するという目的から生まれたもので、AIが政策に関係する刊行物を分析することで、日常生活から得られる政治ビジョンを表現するプログラムを導入していると説明しています。

同党は現在、主要政策に全国民に政府が資金を提供する「ベーシック・インカム」などを掲げ、候補者擁立に必要な20,182の署名を集めています。署名獲得後は公に政界に進出する計画で、候補者はAIの打ち出した政策を提言する役割を担うものと見られます。

ディスコードで公開中、選挙集会も開催予定

人工党の登場はデンマークだけでなく欧米諸国でも注目を集めています。

もっとも、注目理由は必ずしも好意的なものとは限りません。人工知能に政治を委ねた例は過去になく、様々な懸念が生じるからです。

とはいえ、人工党は2019年度に実施された選挙で国民の15%が棄権している事実を「既存政党に魅力がないからだ」と分析し、主張しています。同国には230もの政党が乱立しているものの、国民の期待に答える動きを示していないと解し、政界参加の動機を掲げています。

なお、人工党のAIはゲームや仮想通貨向けのSNSアプリ「ディスコード(Discord)」で公開されています。同党によると2022年9月には人間向けの選挙集会も開催予定とのことです。

参照Could next party in Danish parliament be led by AI?