分散深層学習で信号機のない交通社会の実現目指す、NTT

画像:NTTより引用

NTTは2022年5月30日、信号機のない交通社会の実現を可能にする、次世代通信規格や分散深層学習技術を活かした、モビリティ社会における全体最適制御技術を公開しました。

NTTによると、同技術は車両同士が相互に通信しながら交通網を形成することで、衝突や渋滞を回避するというものです。車両が取得した位置情報などをフィジカル空間とデジタル空間(デジタルツイン)が相互にフィードバックすることで最適状態を予測する「シグナルフリーモビリティ」が盛り込まれています。

同社によると、実験は既に模型を使用した段階まで進んでおり、公開時点で10台~20台の自動運転ミニカーの制御に成功しているとのこと。今後は実験規模を拡大するなどして段階的に実験を進め、研究開発を推進するとしています。

交通トラブルの解消に期待

NTTが進めている実験は、交通社会が抱える課題を解決する可能性を秘めています。

現在の交通社会は車両を運転するドライバーが信号機や標識の指示に従い、走行や停車を判断するシステムです。他の車両が少ない環境であれば大きな問題はありませんが、都市部などの混雑地においては、信号待ちや合流・一時停止などが原因で、渋滞や交通事故などのトラブルが起きています。

今回NTTが公開した技術は、車両同士が相互に通信し、近未来予測により走行を制御するシステムです。信号待ちの渋滞など問題が顕在化してから対処するのではなく、トラブルが生じる前に走行ルートを制御するため、より効率的な交通網の確立が期待されます。

参照世界初、交通全体の最適状態を予測・制御する分散深層学習技術を確立~交通信号なし・事故なし・滞留なし「シグナルフリーモビリティ」実現に大きく前進~