AI自動追尾カメラがサッカー試合中に誤認識

イギリススコットランドのサッカークラブ「インヴァネス・カレドニアン・シッスルFC」はこのほど、サッカーリーグ「スコティッシュ・チャンピオンシップ」の全試合をシーズンチケット購入者に向けて配信する企画で、人工知能のトラブルにより予想外の事態が発生したと明らかにしました。

発表によると、同チームはチャンピオンシップの撮影ツールとして、高度なコンピューターチップと人工知能によるディープラーニングを兼ね備えたイスラエル製のスポーツライブカメラ「ピクセロット」を導入したとしていました。ピクセロットはボールの球体を認識し、カメラレンズを自動追尾させることで、より臨場感のある試合風景を撮影するとされてたロボットです。

ところが、実際に導入されたピクセロットの挙動は、観客を満足させるものではありませんでした。情報によると、ピクセロットはこの試合でボールを認識することができず、スキンヘッドの線審の頭を追尾。緊迫感ある攻防もシュートシーンも多くを取り逃すという事態が発生したとのことです。

開発元「黄色のボールが原因」

開発元のピクセロット側は誤認識について、「ボールの色が黄色だったこと」「(AI側の視点で)線審の頭がピッチの中にあるように見えたこと」としています。

今回の誤認識は、AIがボールと線審のスキンヘッドを取り違えたことにより起きたものですが、この試合で使用されたボールの色が人肌に近い黄色だった点が、認識間違いを起こさせたとのこと。また、試合中、線審はプレーを邪魔しないため距離を取っているものですが、AI側の視点から見ると、線審の頭部がピッチの中にあるかのように映ったため、誤認識を起こしたと説明しています。

当然、観客側からは多くの非難の声が上がりました。しかし、AIカメラによるスポーツ配信のコスト圧縮効果はすさまじく、ラグビーからバスケットボールまで次々と導入を検討する団体が登場。今後もAIカメラの投入は避けられない状況です。

参照Pixellot