トヨタ社長が自動運転と法規制の問題に触れる!~日本の交通社会~

画像:日本自動車工業会/JAMA5月号より

トヨタ自動車の豊田章男社長は、自動車工業会の会長就任時の記者懇親会において「自動運転をしようとすれば今の法規だと様々な問題が出てきます」と述べました。

日本の道路事情は米国と異なり、実際の道路状況と法律が想定する道路状況が全く異なります。そのため、確実な法規順守が求められる自動運転車にとって、法規と実情の乖離は大きなハードル。

同社長の発言は、以前から指摘されてきた本質的な問題を的確に指摘したものと受け取られ、多くの話題を呼んでいます。

あって無きが如し道交法

道路交通法をご存知ないドライバーの方は、恐らくいないかと思います。

各地の道路に定められている制限速度は、道交法を根拠に設定されている基準。しかし、日本の交通社会では制限速度が守られているとは言えず、60km走行の道路を80km程度で走っているのが実情です。

また、合流車線が明らかに短く危険なエリアや、緩やかなカーブに必要以上の減速を求める標識など、お世辞にも実情に合っているとは言えない標識も多数存在します。

法規順守が求められる自動運転車

このような日本の交通事情を改善することなくして、自動運転車の社会的導入は難しいと言わざるを得ません。

自動運転車は人間と違って、「確実な法規順守」を行った車両でなくてはなりません。人間のように実情に沿った自動運転車が登場すると、たちまち取締りの対象となるばかりか、メーカーが製造責任を問われる自体になるのは明白です。

米国のように法律と実情の均衡が取れた交通社会ならまだしも、今の日本で自動運転を導入するとどのようなことになるのか。恐らく、皆さんがご想像した通りの結末になるでしょう。

参照Yahoo!ニュース/豊田章男トヨタ社長兼自工会会長が言う「自動運転と道交法の矛盾」を解説