慶応大研究グループ、「人間の手」に限りなく近いロボットアームを開発

ロボット分野の技術革新が驚異的スピードで進んでいます。

日本では、大学発のロボットベンチャー企業や、研究室等のグループでの研究活動において、非常に高レベルの製品開発が行われています。

2016年9月29日、慶応大学の野崎貴裕助教の研究グループが画期的な「ロボットアーム」の開発発表を行いました。

医療分野等での活用が進む「ロボットアーム」は現在多くの企業で研究開発が行われていますが、慶応大グループが開発したものは、“人間の手”の細かな感覚・動きを再現することに世界で初めて成功したのです。

繊細な人間の手の動きを再現

<発表会見>ロボットアームでポテトチップスを掴む様子

<発表会見>ロボットアームでポテトチップスを掴む様子

今回発表が行われたロボットアームでは、これまでに比べより精密な動作を可能とするモーター技術が用いられているそうです。
(発表時の記者会見では、ポテトチップス1枚を割らずにつかみ取る様子が披露されました。)

また、プログラミングの作業においても、これまでにない方法が使われています。

通常ロボットアームに何かしらの動作を行わせる為には、アームとは別にコンピューターでのプログラミング作業が必要となってきます。

これに対し今回開発されたロボットアームでは、人間が手を添えて動作を一度行うだけで、コンピューターに自動で記憶され、再現することが可能となったのです。

実用化を考える上で、この技術は非常にメリットとなります。
企業にとってプログラミング作業の手間やコストを削減でき、多種多様な分野での活用が期待できるのです。

実用化に向け企業との開発がスタート

同研究グループによると、工場の生産ラインにおける手作業での組み立てや、家庭での介護等、幅広い分野での活用を計画しているそうで、現在既に10数社とのプロジェクトが進んでいるとのことです。

野崎貴裕助教は、会見で「優しくモノに触ることが出来るロボットの登場で、人間を支援する幅が新たに広がる」と話しています。