省力化・省人化補助金とは?補助率・補助上限金額や補助対象を解説

2024年に、省力化・省人化補助金の公募が開始される予定です。本格的に開始される前に「補助対象が何か」「どれくらい補助してもらえるか」など、補助制度の概要を今のうちに把握しておくことで、スムーズな申請が可能です。

そこで本記事では、省力化・省人化補助金について、補助対象や補助率・補助上限金額などを解説します。そのためこの記事を読めば、省力化・省人化補助金についての理解を深められます。

省力化・省人化補助金の活用を検討している企業の皆さまは、公募開始に備えるためにも、それぞれチェックしておきましょう。

省力化・省人化補助金とは?

省力化・省人化補助金とは、作業負担を減らす省力化や人的工数を減らす省人化のために、ロボットやAIなどを導入する際に利用できる補助金です。正式名称は「中小企業省力化投資補助事業」といいます。

省力化・省人化補助金は、2024年に公募がスタートする予定です。

補助対象となる設備は、政府が発表するカタログに掲載されているものとなるため、企業が申請する際にはカタログから導入する製品を選びます。

省力化・省人化補助金に充てるために、2023年度におよそ1,000億円の補正予算が組まれました。

これまであった事業再構築補助金の見直しも提言されており、再編されると考えられています。これらの既存基金を合わせると、省力化・省人化補助金は5,000億円規模の予算となる予定です。

補助金の目的とは

省力化・省人化補助金では、中堅・中小企業の賃上げを目的としています。

中堅・中小企業では、人手不足の深刻化が企業の成長を妨げ、賃上げが進まない状況にあります。そこで、省力化・省人化補助金では、省力化に役立つ製品の導入支援を行うことで、中堅・中小企業の賃上げにつなげようとしています。

今まで作業員が行っていた工程をロボットやAIなどが担うようになれば、生産プロセスの効率化や事業拡大を促進し、賃上げにつながります。省力化により労働生産性を高め、飲食業や製造業における人手不足の解消を目指すのが省力化・省人化補助金です。

支援内容・補助金額、補助率

現段階での省力化・省人化補助金の支援内容は、「作業負担や人的工数を減らす目的で、カタログ内のロボットやAIなどを導入する企業に補助金を支給する」と公表されています。

具体的な補助金額や補助率の方針は、すでに発表されています。補助上限額は、以下の表のとおりです。

従業員数 補助上限額 賃上げ達成時の補助上限額
5人以下 200万円 300万円
6〜20人 500万円 750万円
21人以上 1,000万円 1,500万円

賃上げを目的としているため、賃上げを達成すれば補助上限額が1.5倍に増えます。そのため従業員数が21名以上の中堅・中小企業では、補助上限の増額により、自動清掃ロボットや配膳ロボットの買い足しなど、省力化のために新たな設備購入が可能です。

また、補助率は2分の1で、ロボットなどの導入に必要なコストの半分を補助してもらえます。

補助対象になる事業者・設備

補助対象となる事業者は、省力化・省人化に向けて設備の導入を検討している中堅・中小企業です。

また、省力化・省人化補助金の関連資料を踏まえると、以下のようなものが補助対象として考えられます。

  • ロボット
  • IoT製品
  • AI製品
  • その他

ただし2024年1月現在、補助対象となる設備のカタログはまだ発表されていません。そのため、具体的にどのメーカーの製品が補助対象となるのかは、予算が成立してからわかります。

今後変わる可能性があるため、補助対象に想定されるものの一例として、参考程度に確認しておきましょう。

ロボット

従来、人が行っていた作業に対して、ロボットを導入すれば、省力化につながります。

補助対象のロボット例には、製造業における生産プロセスを自動化するための産業用ロボットが挙げられます。

そのほかにも、飲食業などで配膳を行う配膳ロボットや、ホテルなどの宿泊施設でフロア掃除をする清掃ロボットなども、補助対象となる可能性が高いといえるでしょう。

IoT製品

IoT製品とは、さまざまなものをインターネットに接続し、情報をやり取りするための仕組みや製品を指します。

例えば、製造工場では、設備についたモーションセンサーにより、ものの傾きや振動を測定します。測定したデータをインターネットにより送受信し、アプリケーションなどで可視化できるようにするのです。

IoT製品を製造ライン上に導入すれば作業に関するデータを簡単に収集でき、分析に活用できます。分析したデータを使って作業内容をロボットにインプットすれば、人が行っていた作業をロボットが担えるようになり、省人化につながるのです。

地震直後の工場の安全性を可視化するIoT製品や、業務用の冷蔵庫を管理するIoT製品であれば、省人化につながるため、補助対象となる可能性があります。

AI製品

AI製品も、補助対象となる可能性があります。

例えば、製造ラインで検品作業を行うAI搭載の画像認識システムが挙げられます。AI搭載の画像認識システムでは、不良品を自動で見分けて検品できるため、省人化が可能です。

ほかにも、ロボットアームの角度をAIが自動で調整する設備なども補助対象になる可能性があります。

その他

ロボットやIoT製品、AI製品以外にも、農業で活躍する設備やRPAが補助対象になる可能性もあります。

農業で活躍する設備では、農薬を散布するためのドローンや自動走行トラクター、無人運転コンバインなどが挙げられます。これらを導入すれば、今まで手作業で行っていた農薬散布や農機の運転を、機器に任せられるのです。

RPAは、事務作業を自動化するためのソフトウェアロボット技術です。データを複数のシステムに入力したり、データのチェック作業を行ったりできます。

ドローンやRPAなども、省力化・省人化を進めるのに役立つため、補助対象に含まれる可能性があります。

補助金の活用方法

省人化・省力化補助金は、各業界でさまざまに活用できる補助金です。業界別の活用方法の例は、下記のとおりです。

業種 活用例
製造業 多関節ロボットと直交ロボットを組み合わせて、製造ライン作業を完全自動化
飲食業 複数台の配膳ロボットをピーク時に導入して、ピーク時の効率化
介護業 介護ロボットにレクリエーションの一部を任せて省力化

現段階では企業あたりの導入製品の上限数は明記されていないため、活用例のように複数のロボットを導入して省人化を進める活用方法も考えられます。

補助金の申請方法

補助対象と同様に、現段階では公募要領が公開されていません。しかし、公募期間中に申請を行い、審査を経て補助金が交付される流れが一般的であるといえます。省力化・省人化補助金では、導入する製品をカタログから選ぶ工程が加わります。

また、補助上限が賃上げ達成によって増加する点から、賃上げを証明する書類なども申請に必要となるのではないでしょうか。

スムーズに申請手続きを行うためにも、申請する際には公募要領が発表されているかどうかを確認しましょう。

事前に準備を始めよう

省力化・省人化補助金活用を検討しているのであれば、事前に準備を始めましょう。申請方法などがわからなくても、今の時点でできる準備はたくさんあります。

1番大切なのは、省力化・省人化補助金について、新たな情報が公開されていないかの確認です。それ以外にも、省力化・省人化できる設備にはどのようなものがあるか調査したり、どのプロセスで省力化・省人化を行うか検討したりしてください。

省力化や省人化につながる製品のリサーチなど、事前準備を念入りに行えば、スムーズに申請できるでしょう。

他にもある!ロボット導入で使える補助金

省力化・省人化補助金以外にも、ロボット導入で使える補助金があります。

  • 小規模事業者持続型補助金
  • ものづくり補助金
  • IT導入補助金
  • 事業再構築補助金

これらの補助金は現時点ですでに詳細が公開されており、公募要領も発表されています。

ただし、事業再構築補助金は再編が提言されており、補助金額や採択者数は減少する見通しとなっています。従来は新型コロナウイルスや物価上昇の影響による事業転換などを支援する目的でしたが、2024年度からは人手不足に悩む中小企業を支援する目的に変わりました。

各補助金についての詳細は、こちらの記事で詳しく解説しています。

参照配膳ロボットの導入に使える補助金とは?導入事例やコストも解説

まとめ

省力化・省人化補助金は、ロボットやAI製品の導入にかかるコストを補助上限内で半分補助してくれる補助事業です。カタログ型である点が特徴的で、導入製品はカタログから選びます。まだ正式決定していない部分も多いので、予算が成立するまでは情報のチェックが何より大切です。

カタログや申請方法が公開されたら省力化・省人化補助金をうまく活用し、生産プロセスの効率化や事業拡大の促進を目指しましょう。

なお、ロボファンでは、省力化・省人化につながるロボットを取り扱う優秀なロボットSlerを紹介しています。またロボット導入時の補助金に関するご相談も承っていますので、お気軽にお問い合わせください。