BPO(業務委託)事業を手掛ける綜合キャリアオプションは、BPOとDXソリューションを組み合わせて構築した製造・物流業界向けサービスをリリースしました。人材不足や高齢化、機械化の遅れによる非効率的な業務体制など、製造・物流業界が抱える多くの社会的課題を解決することが目的です。
リリースが発表されたサービスの中の1つ、ロボットを活用した「SC CAPION」についてご紹介します。
ロボットの搬出技術で人力業務をサポート
製造・物流の工場や倉庫内は、非常に多くの部品や荷物が頻繁に搬送されています。機会を導入してフルオートメーション化できれば効率化は可能ですが、実際に導入するには莫大なコストがかかり、また倉庫の規模によってはオートメーション化をしても効果が見込みづらいこともあり得ます。
そのため、現在も多くの現場では人力で搬送作業が行われていますが、組み立てやピッキングなど、判断を必要とする業務に集中するのが本来の作業者の役目のはずです。必要な部品がなければ倉庫内を徒歩で移動して搬送しなければならず、それが数十メートルの移動になることも珍しくありません。こうした作業時間のロスが積み重なることで、効率性・生産性の低下につながってしまいます。そこで、繰り返し発生する搬送作業はロボットに任せ、作業者には組み立てや荷物の積み込みなど、人力が必要な業務に集中してもらおうと開発されたのが「SC CAPION」サービスです。
導入するのは、上海のロボットメーカーKeenonロボティクスや京都のロボットメーカーKeiganが開発したさまざまなロボットたち。本来は、飲食店などに導入する配膳ロボットとして開発されたものが多いのですが、その運搬機能を活用して物流・製造の現場に導入しようというのが本サービスの主旨です。あらかじめ倉庫内のマッピングを登録しておけば、ロボットが自動的に最短ルートを計算して移動。ルート上に障害物を検知すればスムーズに回避して移動します。
料理を運ぶように精密機器も運べる
配膳ロボットを工場の搬送用に導入するメリットはいくつかあります。ひとつは横幅40cm前後のスリムなボディで、小回りが利く点です。工場や倉庫のような広くて入り組んだ場所でも難なく移動できるので、細い通路の先で作業をしているときでも、ロボットが必要な部品を届けてくれます。また、料理をこぼさず運べる安定性の高さから、半導体などわずかな衝撃も避けたい精密機器なども安心して搬送させることができます。
大きな荷物も運べる倉庫専門ロボットを導入するという手もありますが、既存の配膳ロボットを流用することで、導入コストを押さえることも可能です。リース契約なら、1台につき月額5万円ほどから導入できるといいます。また、同社では消毒液を噴霧する消毒専用のロボットも扱っており、こちらは医療機器の製造や輸送を行っている工場・倉庫での活躍に期待できるそうです。
同社は他に、ARグラスを活用して工場・倉庫内作業者に遠隔指示ができる「ShareSight」、200社超の派遣会社に一斉発注できる人材採用・管理の一元支援システム「ヒトルク」のリリースも発表しています。
製造・物流業界の課題解決に向けて、いまや不可欠となったDXの活用。ロボットをはじめとする技術の力をうまく取り入れることが、業務改善・効率化の第一歩といえそうです。