ロボットの制御はどうやるのか?メリット・デメリットや成功事例まで

「ロボットの導入を考えているが制御方法がわからない」「ロボットを導入して本当に成果がでるのか?」と悩んでいませんか?

そこで本記事では、ロボット制御の方法や工場を自動化するメリット・デメリットを紹介します。実際にロボット制御で成功している事例もまとめているので、導入後のイメージも湧きやすいでしょう。

ロボットの導入に悩んでいる企業の皆さまは、ぜひ参考にしてください。

ロボットの制御はどうやるのか?

ロボット制御では、ロボットにどのようなタイミングでどのような動きをするのかを、詳しく教え込みます。

ロボットの制御方法には、「ロボットティーチング」と「ロボットビジョンシステム」があり、それぞれ方法が異なります。

ロボットティーチング

ロボットティーチングとは、プログラミングやリモコンなどにより、ロボットに動作や姿勢を指示する制御方法です。

ロボットティーチングには大きく分けて4種類の方法があり、それぞれティーチング方法が異なります。例えば、直接手動でロボットを動かし、動作を記憶させるダイレクトティーチングや、AIにより自動的にティーチングを行う方法などさまざまです。

自社でロボットティーチングを行う際は専門的な知識に加え、教示用の資格が必要なため、ティーチング人材を育てるにはある程度の期間がかかります。

ロボットティーチングの詳しい内容は、下記記事をご覧ください。

参照ロボットティーチングとは?種類や資格・人材確保の方法を紹介

ロボットビジョンシステム

ロボットビジョンシステムとは、対象物の位置や大きさなど、作業に必要な情報をカメラを通して処理するシステムです。ロボットに付属しているカメラから異物の混入や汚れ、破損など、対象物に関する情報を得て画像検知技術により処理し、情報を動作システムに送信します。

ロボットビジョンシステムが搭載されていないロボットでは、未登録の商品やエラー商品に対しては対応できません。

一方で、ロボットビジョンシステムを搭載するロボットでは商品の状況を判断し臨機応変に処理できるため、不規則に商品が並んでいても作業を進められます。

ロボット制御で工場の自動化をしよう

工場の自動化とは、ロボットやAIを導入し、人間の手で行っていた作業を自動で行えるようにすることです。工場を自動化する方法には、以下の2通りが挙げられます。

  • ハードウェアによる自動化:作業員に大きな負荷かかかる作業や、危険をともなう作業に対してロボットを導入
  • ソフトウェアによる自動化:熟練作業員しかできない異常検知やデータの管理などをセンサーを利用したソフトウェアシステムを導入

工場の自動化を進めるためには、これらを組み合わせてロボットをうまく制御する必要があります。

工場の自動化のメリット・デメリット

ロボット制御により工場を自動化すれば、さまざまなメリットがあります。しかし、工場の自動化はメリットだけではありません。

ここでは、工場を自動化するメリットとデメリットを解説します。

メリット

工場の自動化には、生産性の向上や品質の安定、人材不足解消などの効果が期待されています。

人間が作業を行う場合は休憩が必要ですが、ロボットには基本的に休憩時間の必要はありません。そのため、作業時間が増え、生産性の向上につながるでしょう。

また、手作業では多少バラツキがでてしまう作業において、ロボットを導入すれば一定の品質を保てるようになります。

危険な作業や労力の大きな作業をロボットに任せ、作業員を他業務に充てれば労働環境の改善にもつながり、人材不足も解消されるでしょう。

デメリット

ロボットやAIの導入により、工場の自動化を進めるためには、多くの時間が必要です。

例えば、作業員がロボットに慣れるまでの時間や、ロボットを扱うための専門人材を育成する時間がかかります。特に専門知識をもった人材を一から育てるには、特別教育を実施する必要があり、多くの期間を要するでしょう。

また、作業員の安全を確保するために、作業スペースを広く確保する必要があります。そのため導入するロボットによっては、工場の改築やレイアウト変更をしなければならない可能性もあります。

ロボット制御で最適化をしている事例

ロボットを現場の目的に応じて正しく制御すれば、よりよい環境作りができます。

ここでは、実際にロボット制御によって最適化をしている事例を5つ紹介します。

株式会社PALTAC

株式会社PALTACのRDC埼玉では、株式会社Mujinのパレタイズロボットを導入しました。

PALTAC社は日用品や化粧品、一般用医療品などを扱っている会社です。従来、出荷工程にてパレットなどへの積み付けを作業者が行っていましたが、ロボットの導入により自動化しました。

ロボット導入において課題となったのが、積み付けるケースが多種多様であるため、重いものは下へ積み付けるなど柔軟な作業が必要である点です。これを解決したのが、Mujin社の核技術であるロボット制御でした。

3Dビジョン搭載のロボットの導入により、高密度かつ高性能な積み付けを実現しました。3Dビジョン搭載のロボットでは、パレットなどの位置・姿勢の検出やケースのずれを認識し、最適な軌道を自動で選択できます。

これにより作業者の省人化に成功したうえに、作業効率を導入前の2倍にできました。

トヨタ自動車北海道株式会社

トヨタ自動車北海道株式会社では、トランスミッションやアクセルなどの部品を製造しています。

デフピニオンを加工機に投入する工程において作業者の負担を軽減するために、カメラによるワークの認識方法を検討していましたが、サイクルタイム内に収まらない課題に直面していました。

そこで、あえてシステムにカメラを付けず、ハンドがワークに当たった時点で認識できる「フォーストルクセンサ方式」を採用し、UR5eUR10eUR16eなどのURロボットの導入に成功。

また、従来は車種が追加になる度にラインも増え、新たな粗材供給機が必要でした。URロボットの導入後は、プログラミングの設定を変更すれば対応できるようになったため、投資面での節約にもなりました。

ロボットの認識システムとティーチング方法の両方を最適化することにより、URロボットの導入前は92%だった工程稼働率を98%にまで向上できています。

川崎重工株式会社

松浪硝子工業株式会社は、顕微鏡や医療で使用する特殊ガラスを取り扱っている企業です。将来的な人手不足を見据えて、産業用ロボットを導入し、作業の効率化を図っていました。

しかし、スペースの確保が難しい点や、設定変更のたびに専門業者を呼ぶ必要がある課題を解決するために、人と同じ空間で作業ができる協働ロボットのUR5やUR10・UR10eに変更。ガラスの裏表を使い分ける工程が多いなか、各軸の可動域が±360°あるロボットの導入により、省スペースでスピード感のある作業が可能となりました。

また、URロボットはプログラミングが簡単なため、ノンプログラマーの作業員でも現場でのサポートをもとにスムーズに制御ができ、立ち上げ作業を順調に終えられました。

ティーチングが簡単なロボットを新たに導入することで、複数の工程におけるロボット制御の最適化に成功した事例です。

SYSTEMATIX社

川崎重工社の認定ロボットSIerであるSYSTEMATIX社は、航空機部品メーカーへのロボット導入を行いました。

航空宇宙産業は少量多品種の生産が主であるため、ロボットの導入が難しいといわれている業種です。特にナットプレートは200以上の種類があり、自動化が困難だとされてきました。

しかし、SYSTEMATIX社は川崎重工社の「RSシリーズ」を採用し、メーカーの課題を解決。成功の秘訣となった3Dビジョンでは、225形状・28種類のナットプレートを見分けられます。

3Dビジョンは、ワークに対する位置決め・28種類のナットプレートの認識・適切な部品かどうかの再チェック時に活用されています。

3Dビジョンとロボットの導入により、ナットプレートの組み立てセルの自動化を実現しました。

KEYENCE JAPAN

KEYENCE JAPANでは、溶接ロボットの「LJ-X8000シリーズ」を開発しています。

レーザー加工では微細な加工が求められます。そこで、LJ-X8000シリーズでは、、母材の位置や開先形状の高精度かつ高速に検出する仕組みを採用し、ピンポイントかつリアルタイムでのトーチ位置制御を可能にしています。

具体的には、位置制御は帯状のスリット光を照射し、母材の位置や距離、溶接する場所につけられるくぼみを検出する仕組みを取り入れました。これにより、トーチ位置制御にかかる時間を大幅に短縮し、スピーディかつ正確な溶接を実現します。

まとめ

ロボットを導入し上手く制御すれば、生産性が向上したり省人化につながったりと、さまざまなメリットが得られます。

一方で、作業員が扱えるようになるまでに時間がかかるなどデメリットがあるのも事実です。

特に、ロボットの導入や制御を効率よく進めたい方は「ロボットSler」がおすすめです!ロボファンでは、さまざまな分野に精通したロボットSlerを紹介しています。

ロボットSlerを活用して、効率よく導入を進めましょう。