単軸ロボットとは?導入メリットやデメリットとおすすめメーカー5選

単軸ロボットとは、一軸方向の動きに特化した機械です。自社の業務をより効率化するために、単軸ロボットの導入を検討している方も多いでしょう。

今回は、単軸ロボットの概要や導入するメリット・デメリット、おすすめのメーカーについて紹介します。本記事では、単軸ロボットの導入に必要な情報をまとめているため、導入時の判断材料として役立つでしょう。

単軸ロボットの導入を検討中の企業の皆さまは、ぜひ最後までご覧ください。

単軸ロボットとは

単軸ロボットとは、スライダとモータ、ボールねじによって構成された、一軸方向の動きに特化した機械です。ボールねじとは、雄ねじと雌ねじの間にボールを挟み込んで少ない摩擦で回転させるねじです。

単軸ロボットはシンプルな構造から、商品の運搬作業や商品の整列作業などに活用できます。

単軸ロボットとロボシリンダの違い

単軸ロボットとロボシリンダでは、使用できる用途が異なっています。単軸ロボットは、重量物の搬送かつ高速・高剛性・高精度が求められる工程に活用される傾向があります。

一方、ロボシリンダはシリンダの代替品であるため、小型なうえ動作速度が速くありません。そのため、軽量物の搬送に用いられる場合が一般的です。

単軸ロボットの構造

単軸ロボットは長方形状の単純な構造で、ACサーボモータに対して直線上に設置されたボールねじの上側にスライダがついています。モータを回転させれば、ボールねじも連動して回転することになり、スライダが移動します。

また、スライド軸を直交できるタイプでは、ほかの産業用ロボットと組み合わせて活用できるようになるため、商品の搬送以外の用途にも使用可能です。

単軸ロボットのでできること

単軸ロボットのできることの例として、以下の2つが挙げられます。

  • 複数にわたる搬送業務
  • ロボット間での連携

単軸ロボットは、機械の関節部分へ負担がかかりにくい構造になっているため、複数回往復する必要がある搬送業務で活用できます。

また単軸ロボットは、異なる産業用ロボット間の仲介役になれます。そのため、単軸ロボットを導入すれば、従業員がロボット間で商品を運ぶ必要がなくなるため、作業工程全体で効率的な連携が可能です。

単軸ロボットの導入メリット・デメリット

ここでは、単軸ロボットを導入するメリットとデメリットを紹介します。メリットとデメリットを理解したうえで、単軸ロボットの導入を判断してください。

メリット

ここでは、単軸ロボットを導入するメリットを3つ紹介します。単軸ロボットが、どのような効果をもたらすのかを理解しましょう。

メンテナンスがしやすい

単軸ロボットは単純な構造なので、メンテナンスがしやすいメリットがあります。

単軸ロボットは、部品交換や点検作業が必要なパーツが少ないです。単軸ロボットのボールねじに対する潤滑剤の定期的な点検程度であるため、比較的メンテナンスの負担は軽いといえるでしょう。

故障リスクが低い

故障リスクが低い点も、単軸ロボットのメリットといえるでしょう。水平多関節ロボットなどの産業用ロボットでは、小さな部品を掴むといった繊細な動作が求められる場合も多いため、アームやボルトが疲弊してしまい故障することも珍しくありません。

一方で、単軸ロボットは関節が少なく直線的な動作が基本となるため、比較的長く運用できます。

幅広い用途に活用できる

単軸ロボットはほかの産業用ロボットと同時に使用できるため、幅広い用途に活用できます。例えば、直交ロボットと単軸ロボットを組み合わせれば、より長い距離に対する商品の搬送が実現可能です。

単軸ロボットとほかの産業ロボットを組み合わせることで、生産性を大幅に向上できるケースもあります。

デメリット

ここでは、単軸ロボットを導入するデメリットを1つ解説します。単軸ロボットを導入する適切な判断を下すためには、メリットと同時にデメリットも加味する必要があります。

デメリットを理解したうえで、本当に導入が必要かどうかを判断しましょう。

複雑な作業に向いていない

単軸ロボットを使用するデメリットとして、複雑な作業に向いていないことが挙げられます。単軸ロボットは直線的な動作しか実施できないため、回転運動が必要な商品の搬送はできません。

複雑な作業を自動化したい場合には、高度な動作が実現できる多関節ロボットの導入を検討してください。

おすすめ単軸ロボットメーカー5選

ここでは、おすすめの単軸ロボットメーカーを5つ紹介します。数多くの単軸ロボットメーカーが存在するため、どこのメーカーを選ぶべきかと悩んでいる方も多いでしょう。

それぞれのメーカーが、どのようなロボットを開発しているのかをまとめたので、参考にしてください。

株式会社アイエイアイ

株式会社アイエイアイは、単軸・直交ロボットにおいて国内・海外で有数のシェアを誇るメーカーです。同社が扱う単軸ロボットの「RCS2-SA4C」は、レーザー変位計による測長工程や検査工程におけるカメラの送り機構など、高い精度が必要な作業で活用できます。

ヤマハ発動機株式会社

ヤマハ発動機株式会社は、産業用ロボットやロボット一体型ビジョンシステムなどを開発しているメーカーです。同社が取り扱う単軸ロボットの「GXシリーズ」は、ロボットケーブルの取り出し方向の変更など柔軟に仕様を変えられるため、幅広い設置環境に対応できます。

TOYO ROBOTICS株式会社

TOYO ROBOTICS株式会社は、単軸ロボットやリニアモータなどの電動アクチュエータを製造しているメーカーです。同社の単軸ロボットの「CGTH4」では、±0.01の精度で繰り返し作業を実施できます。

平田機工株式会社

平田機工株式会社は、ロボットなどの開発から生産の立ち上げまで一貫して実施している産業用ロボットメーカーです。同社が取り扱う「MB-207R」は1つの走行軸に複数のスライダを設置できるため、省スペース化を実現できます。

ハイウィン株式会社

ハイウィン株式会社とは、日本やドイツ、アメリカなど世界12ヵ国に拠点を持ち、直動機器や産業用ロボットを開発するメーカーです。同社の単軸ロボットの「KKシリーズ」は、モジュール設計によってボールねじとU字形状のガイドレールが一体となっており、メンテナンスがしやすい特徴があります。

単軸ロボットの導入事例

ここでは、単軸ロボットの導入事例を5つ紹介します。単軸ロボットの具体的な活用方法を理解するためにも、それぞれの導入事例を参考にしてください。

カンダコーポレーション株式会社

運送業や警備業を営むカンダコーポレーション株式会社は、小売店に搬送する釣銭を作成する工程で多関節ロボットを導入していました。しかし、多関節ロボットは耐久性が低く、エラー故障が度々発生していました。

そこで、ヤマハ発動機社の単軸ロボット「B10-R」を導入。多関節ロボットから直交・単軸ロボットへの仕様変更により関節への負担が軽減され、釣銭工程で発生するエラーの削減につながっています。

その結果、エラー故障を解除する工程が大幅に減ったため、従業員のストレスも軽減できています。

セントラルパック株式会社

レトルト食品の開発・製造を行うセントラルパック株式会社では、高速カートナーへのパウチの供給作業・手直し作業・空トレー回収作業を3名の従業員で実施していました。同社では人手不足が深刻であったため、少ない従業員でも業務を回せないか検討していました。

そこで、単軸ロボットとファナック社のパラレルリンクロボットを組み合わせたシステムを構築。パラレルリンクロボットがサブコンベア上に整列させたレトルトパウチを、単軸ロボットが7袋ずつメインコンベアへ移載する仕組みを作りました。

導入の結果、パウチの供給作業の従業員数を1生産ラインあたりで、3人から1人までに減らせました。

株式会社テイスティフーズ

米飯類の製造・販売をする株式会社テイスティフーズでは、冷凍の球型おにぎりを製造する際に従業員が1つずつ成型と計量をしていました。手作業ゆえに、商品の形の品質に差が出る点と、計量作業に時間がかかってしまう点に課題を感じていました。

そこで、ヤマハ発動機社の水平移動単軸ロボットと水平多関節ロボットを組み合わせて、球型への圧縮成型から商品の移動、パレタイズまでの一連の作業を自動化しました。

導入の結果、成形不良率は1%から0.1%以下へ低下でき、工程人員は6人から2人へ減らせました。また、1日当たりの生産数は、6,000個から21,000個にまで増やせました。

専用機メーカー

商品あたりのタクトタイムが短い装置を設計・製作している、ある専用機メーカーでは、「ロングストローク工程でさらにタクトタイムを削減してほしい」という取引先からの要望に応える必要がありました。

従来は「ボールねじ単軸ロボット」を使用していましたが、ロボットの寿命を考慮して速度を落とす必要がありました。そこでロングストローク工程でも危険速度を考慮しなくてよい「リニア単軸ロボット」に目をつけ、ヤマハ発動機社の「リニアモータ単軸ロボットPHASERシリーズ」を導入しました。

導入の結果、ロングストローク工程でも最高速度を落とさずに搬送が可能になり、製造時間の短縮につながりました。

グローリー株式会社

世界最大級の貨幣処理機メーカーであるグローリー株式会社では、レジ釣銭機用部品の組立工程の自動化率の向上を目指していました。

そこで、単軸ロボットとカワダロボティクス社のヒト型ロボットを組み合わせ、レジ釣銭機用部品の組み立てから検査工程まで完全自動化を実現。

その結果、従来10人の従業員で稼働していた業務を5名へ削減させることに成功しました。

単軸ロボットの導入方法

単軸ロボットを自社に導入する場合は、ロボットSlerを活用しましょう。ロボットSlerに頼れば、最適なロボットの提案から生産の立ち上げ、アフターフォローまで、ロボットの導入に必要な一連の工程を任せられます。

ロボファンで紹介しているロボットSlerは導入前の「初期診断」を実施しています。初期診断とは、現場の視察で得た情報を踏まえて、作業・対象ワークの選定を行う診断です。

初期診断後は、以下のように導入までのサポートを徹底して行います。

  1. 見積もり提示
  2. ロボット設備生産
  3. 納品
  4. 導入後のアフターサポート

効率的に単軸ロボットを導入するためにも、ロボファンを活用しましょう。

まとめ

単軸ロボットを導入すればメンテナンスがしやすくなったり、故障リスクが低くなったりと、さまざまなメリットが得られます。

一方で、複雑な作業に向いていないデメリットが存在するのも事実です。単軸ロボットのメリットとデメリットを総合的に判断し、導入を進めましょう。