ロボットエンジニアにおすすめの資格9選!仕事内容ややりがいも解説

ロボットエンジニアになりたいけど、どのような資格が必要かわからない方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、ロボットエンジニアにおすすめの資格や必要なスキルを解説します。仕事の内容の解説を通して、資格の必要性を理解できるでしょう。
ロボットエンジニアの資格に興味がある方は必見です。

ロボットエンジニアとは

ロボットエンジニアとは、ロボットの開発や設計、保守運用などを行うエンジニアを指します。ロボットエンジニアの活躍の場は幅広く、災害用・医療用・産業用など、さまざまな分野で活躍するロボットの開発に携わります。

ロボットエンジニアの仕事内容

ロボットエンジニアの仕事内容は、主に以下のようなものが挙げられます。

  • 規格・用途を決める
  • 設計・開発
  • 実験と検証
  • メンテナンス・設備の保全

ロボットに関わる業務を幅広く請け負うのがロボットエンジニアです。これから、ロボットエンジニアの仕事内容を1つずつ詳しく紹介します。

規格・用途を決める

ロボットを開発する前に、まずは規格や用途を決定します。ロボットの主な用途は、以下の通りです。

  • 産業用ロボット
  • 医療用ロボット
  • 災害用ロボット
  • 介護用ロボット
  • 建設用ロボット
  • 農業用ロボット
  • サービス用ロボット

産業用ロボットは製造現場で組み立て・運搬時に活躍し、医療用ロボットは手術や調剤をサポートします。そのほかにも、危険な場所での人命救助を行う災害用ロボットや人とのコミュニケーションを取れるサービス用ロボットなど、用途は多岐に渡ります。

また、ロボットの規格には、安全規格や国家規格が存在します。例えば、産業用ロボットでは「ISO 10218-1」、協働ロボットでは「ISO/TS 15066」、サービス用ロボットでは「ISO 13482」といったように、各規格の違いによりガードの有無や危険な動作時のシステム構成が異なるため、用途に従って決める必要があるのです。

ロボットごとに役割が異なるため、求められている役割を果たすための規格や用途を決めるところからロボットエンジニアの仕事はスタートします。

設計・開発

開発するロボットの規格や用途が決まれば、いよいよ設計段階です。通常ロボットの設計や開発を行う際には、以下3つの専門分野にわかれて仕事を進めます。

  • センサー
  • 知能・制御
  • 駆動

ロボットの感覚は「センサー」によって検知します。センサーは人間の視覚や触覚にあたり、色や光、温度などを識別します。

「知能・制御」は人間でいうと脳にあたる部分です。ロボットの動きをコントロールする役割を果たします。

「駆動」は人間の手や足をイメージするとよいでしょう。ものを持ち上げたり、作業場を移動したりなどの運動を行います。

ロボットエンジニアがこれら3つの専門分野にわかれ、それぞれが連携を取り合って、ロボットの機能を設計・開発します。

実験と検証

ロボットの開発が進みある程度形になってきたら、想定通りの動きをするかなどを実験・検証するのもロボットエンジニアの仕事です。実用に向けてさまざまな環境下で実験を行ったり、結果を検証し問題点を洗い出したりします。

実際と検証を重ねるうえで、改善すべきところは改善を行います。こうしてロボットエンジニアは、実用性の高いロボットを完成させるのです。

メンテナンス・設備の保全

ロボットを作るだけではなく、納品後のメンテナンスや設備の保全もロボットエンジニアの仕事に含まれます。具体的には、定期的な点検や故障前の部品交換、故障したあとの修理など、ロボットや関連設備の保全も担うのです。

ロボットに不具合が起きると、スムーズに作業ができなかったり、事故につながる可能性があったりします。そのため、ロボットエンジニアのメンテナンスや設備の保全も重要な仕事です。

ロボットエンジニアはきつい?年収は?実際の声

ロボットエンジニアの平均年収は求人サイト統計によると473万円程度と、日本の平均年収の461万円に比べて高い傾向にあります。特にC言語を習得している場合には、専門性の高さから年収が高い傾向にあり、高年収も夢ではありません。

ただし高収入な分、仕事がきついとの意見が存在します。では、なぜそのような声があるのでしょうか。

ロボットの開発には、専門的な知識が必要です。電気・電子工学や情報工学、機械工学など、幅広く習得しなければなりません。また、知識のみならず技術力も必要です。

ロボットの技術は日々進化しています。少し前まで最新の技術を搭載していたロボットも、すぐに別の新しい技術が生まれて衰退していきます。そのため、ロボットエンジニアの第一線として活躍し続けるためには、常に最先端の技術を追いかけ続けなければなりません。

このようにロボットエンジニアは知識・技術を身に付ける必要があるため、膨大な知識をインプットし続けることが苦痛に感じる方にはきついといえるでしょう。

一方で機械設計など他部署から、ロボットエンジニアへ転職した方のなかには、ロボットの開発を通じてAIなどの最新技術を身につけられるため刺激が多く、楽しんで取り組んでいる方も多くいます。

参照ロボットエンジニアの仕事の年収・時給・給料(求人統計データ)/求人ボックス 給料ナビ

ロボットエンジニアが必要とされている理由

近年、企業全体の人手不足などが理由で、ロボットエンジニアの需要は高まりつつあります。ロボットエンジニアが必要とされている理由を、詳しく紹介します。

人手不足

日本の医療・農業・産業など多くの業界で、人手不足が進んでいます。人手不足が慢性化している業界では、働き手をロボットで補う考え方が広まっています。ロボットのニーズが急拡大していることから、ロボットエンジニアの必要性も高まっているのです。

作業品質の向上

人間の集中力には限界があるため、単調な作業や過重労働が重なると作業上のミスが増えてしまいます。一方で、ロボットはプログラムに基づいて作業を実行するため、安定した品質の確保が可能です。
作業品質向上のためロボットを導入する企業が増えている背景から、ロボットエンジニアの必要性も増しています。

AIなどの技術革新

AIなどの技術革新により、ロボットの性能も多種多様なものになっています。AIが進化したため、これまでは人間が判断しなければならなかった作業も、ロボットが担うようになりました。

このような性能の向上にともなって、ロボットが活躍する場もどんどんと広がっています。ロボットが幅広い分野で活躍するにつれて、ロボットエンジニアも活躍の幅が広がり、多くの分野で必要とされているのです。

ロボット需要の増加

ロボットは従来、産業用ロボットがよく使われていました。工場などで活用され、生産性を高めていたのです。
もちろん現在も産業用ロボットは活躍しています。産業用ロボットに加え、近年ではサービス用ロボットも普及し、ロボットの活用分野がより多くなりました。

サービス用ロボットは商業施設などで接客をしたり、家庭や職場でお掃除ロボットとして清掃を行ったりしています。これにより、ロボットがより身近なものとなりました。

このように産業用ロボットとサービス用ロボットの需要が増加し続けているため、ロボットエンジニアの仕事も今まで以上に注目されています。

ロボットエンジニアになるために必要なスキル

ロボットエンジニアになるうえでは、ロボットにどのような機能が求められているか、ニーズを把握するスキルが最も必要です。

今あるロボットをもとに改良を加えるケースもありますが、全く新しいロボットを開発するケースもあります。社会の変化を柔軟に受け入れ、ロボットによって課題を解決しなければなりません。

また、ロボットを海外の企業と共に開発している日本企業も多く存在します。そのため、多言語でのコミュニケーションスキルが求められる場合もあります。

もちろん、ロボット工学についての知識やスキルも必要です。具体的には、ロボットを動かす機械の仕組みを学ぶための機械工学や、システムを構築するための情報工学、電気エネルギーの流れを理解するための電気電子工学などが挙げられます。

未経験の場合には専門的な知識の証明に、資格を取得するのも一つの手です。自分が働きたい会社ではどういう人材や資格が必要か確認しましょう。

ロボットエンジニアになるために活かせる資格と難易度

ロボットエンジニアは、多くの専門的知識が求められる職業です。そのため、情報処理技術者試験やロボットSI検定など、さまざまな資格で得られる知識を活かせます。
未経験からロボットエンジニアを目指すうえで活かせる資格について、それぞれの難易度や試験時期などを解説するので参考にしてください。

情報処理技術者試験

IT関連の国家資格には、情報処理技術者試験があります。ITの基礎知識を問うものから実用的な知識を問うものまでさまざまなIT関連の試験が用意されており、目的に合わせて受験できます。

試験区分 合格率 費用 試験時期
ITパスポート試験 50%程度 7,500円(税込) 随時
情報セキュリティマネジメント試験 50〜70%台 随時
基本情報技術者試験 23~27%程度 随時
応用情報技術者試験 20%程度 4月・10月
システムアーキテクト試験 12〜15%程度 4月
プロジェクトマネージャ試験 13〜14%程度 10月
エンベデッドシステムスペシャリスト試験 17%程度 10月
ITサービスマネージャ試験 12〜14%程度 4月
システム監査技術試験 13〜16%程度 10月

それぞれの資格を取得すれば、ロボットエンジニアに十分なITの知識を証明できます。

CAD利用技術者試験

CAD利用技術者試験は、コンピュータで設計を行う際に必要なCADの知識を問う試験です。具体的には、建築業務の基礎知識や図面を読み取りCADで表現する能力などが必要です。
2次元CAD利用技術者試験と3次元CAD利用技術者試験にわけられており、さらにそれぞれ3つのレベルがあります。2・3次元CAD利用技術者試験の概要は、以下の通りです。

試験区分 階級 合格率 費用 試験時期
2次元CAD利用技術者試験 基礎 60〜70%程度 4,400円(税込) 随時
2級 50%台 6,050円(税込) 随時
1級 40〜60%程度 16,500円(税込) 7月・12月
3次元CAD利用技術者試験 2級 40〜60%程度 7,700円(税込) 随時
準1級 30〜50%程度 11,000円(税込) 7月・12月
1級 20〜30%程度 16,500円(税込) 7月・12月

ロボットを開発する際に役立つCADの知識が身についているか確認するためにも、受験する価値がある試験であるといえるでしょう。

機械設計技術者試験

ロボットエンジニアに必要な機械設計の知識が問われるのが、機械設計技術者試験です。機械設計に関する計算や、管理者に必要な安全や環境に対する知識などが問われます。3級から1級の3つにわけられています。

階級 合格率 費用 試験時期
3級 33〜43%程度 8,800円(税込) 11月(第3週の日曜日)
2級 32〜42%程度 22,000円(税込)
1級 29〜37%程度 33,000円(税込)

2級以上の試験を受ける際には実務経験も必要となるため、未経験であればまず3級の合格を目指しましょう。

電気主任技術者試験

電気主任技術者試験は、電気設備の保守や監督を行うための知識が問われる国家試験です。ロボットエンジニアにとっても、ロボットを制御するために電気系統に関する知識は大切です。
電気主任技術者試験は第一種から第三種まで、3つのレベルにわけられています。

階級 合格率 費用 試験時期
第三種 8~15%程度 7,700円(非課税)

(郵送では8,100円(非課税))

3月・8月
第二種 1次試験:30%程度

2次試験:13~20%程度

13,800円(非課税)

(郵送では14,200円(非課税))

1次試験:8月頃

2次試験:11月頃

第一種 1次試験:20%程度

2次試験:10%程度

13,800円(非課税)

(郵送では14,200円(非課税))

1次試験:8月頃

2次試験:11月頃

第一種は特に難易度の高い試験となっており、複数の科目に合格しなければならないため、数年かけて合格を目指すケースもあります。

ロボットSI検定

ロボットSI検定とは、ロボットのシステムインテグレーションを行うために必要な知識を問う試験です。ロボットのシステムインテグレーションの基礎知識に加え、実際に産業用ロボットを動かせる能力なども求められます。

階級 最終合格率 費用 試験時期
3級 40~68%程度 50,000円(税込)

(会員は38,000円(税込))

不定期
2級 37.0%程度 40,000円(税込)

(会員は30,000円(税込))

ロボットSI検定1級についてはまだ実施されておらず、今後追加されると考えられています。

テクニカルエンジニア

テクニカルエンジニア試験は、ロボットを作るために情報処理システムを扱ったり、プログラムを構築したりする知識を問う国家試験です。試験に合格すると、テクニカルエンジニアとして認められます。
テクニカルエンジニアは2009年よりネットワークスペシャリスト試験に改名され、情報処理技術者試験の1つとなりました。

合格率 費用 試験時期
7〜17%程度 7,500円(税込) 4月

情報処理技術者試験は難易度によりレベル1からレベル4にわけられていますが、テクニカルエンジニアのレベルは最高難易度のレベル4に分類されています。

ITストラテジスト

ITストラテジスト試験は、ITの専門知識のみならず、経営戦略に基づいたIT技術の活用ができる能力を求める試験です。合格すれば、高度なITへの知見を持っている証明になります。

合格率 費用 試験時期
14〜15%程度 7,500円(税込) 4月

ITストラテジスト試験もネットワークスペシャリスト試験と同様に、最難関のレベル4であるため、難易度の高い試験だといえます。資格の信頼度も高く、キャリアアップへつながる資格です。

画像処理エンジニア検定

画像処理の分野における開発・設計についての知識を問うのが、画像処理エンジニア検定です。AGVやピッキングロボットの開発に必要な移動物体検出技術や、深層学習技術に関する知識が問われます。
レベルは、ベーシックとエキスパートの2つにわかれています。

階級 合格率 費用 試験時期
ベーシック 60~70%台 5,600円(税込) 7月・11月
エキスパート 20~40%程度 6,700円(税込)

画像処理エンジニア検定を通じて得た知識は、ロボットビジョンの開発に役立ちます。

C言語プログラミング能力認定試験

C言語プログラミング能力認定試験では、C言語に対する知識を問う試験です。C言語を理解し、実際にプログラムを書く能力があるかを試されます。C言語はハードウェアの制御に長けたプログラミング言語であるため、多くの場面で使用されてるロボットの開発言語です。
C言語プログラミング能力認定試験では、C言語に関する基礎的な知識を問う3級から専門的な知識も必要である1級まで、レベルごとにわかれています。

階級 合格率 費用 試験時期
3級 64〜70%程度 5,200円(税込) 1月・6月・9月
2級 6,400円(税込) 1月・6月
1級 7,800円(税込) 1月・6月

C言語プログラミング能力認定試験の平均合格率はすべての階級で60%程度と、紹介してきた試験のなかでも比較的高めです。ロボットエンジニアに必要なスキルを身につけるためにも、まずはC言語プログラミング能力認定試験を目標にするとよいでしょう。

ロボットエンジニアのやりがい

ロボットエンジニアには社会貢献性の高さや収入面など、さまざまなやりがいがあります。少しでもロボットエンジニアに興味があるなら、やりがいを確認してみましょう。ロボットエンジニアになった未来を想像すれば、ワクワクしてくるはずです。

成長産業で刺激がある

ロボット産業は日々成長している分野であるため、刺激があります。
少し前までは一般的ではなかったサービス用ロボットも身近なものになるなど、常に技術面で進化を遂げています。事実、2015年には1.6兆円だった市場規模が2020年には2.85兆円となり、2035年には10兆円規模の市場になると予測されています。これからも拡大する需要に合わせて新しいロボットが出てくるなど、ロボット業界は進化し続けるでしょう。
ロボットの技術進歩に伴って、ロボットエンジニアは新しいスキルを磨けるのです。そのため、向上心が高い方はやりがいを感じられます。

社会貢献ができる

開発したロボットを通じて、社会貢献ができるのもロボットエンジニアのやりがいです。
少子高齢化による人手不足や、危険な作業による労働災害などをロボットが解決します。例えば、重量物の運搬作業をAMRロボットが担うことで労働者の作業環境を改善できたり、介護用ロボットの活躍により介護業界の人手不足を解消できたりします。
このようにロボットエンジニアは、社会貢献を実感しやすく魅力的な職業です。

好きなロボットに関わる仕事ができる

ロボットエンジニアは、好きなロボットに携われる点でも大きなやりがいがあります。
そのうえロボットにはたくさんの種類があるため、興味のある分野のロボットを開発できる可能性もあります。
また、ロボット開発はものづくりの仕事であるため、作り上げる楽しさも感じられる職業です。実験や検証を重ねロボットが完成すると、喜びもひとしおでしょう。

高収入が得られる可能性がある

ロボットエンジニアは高収入を得られる可能性がある仕事です。ロボットエンジニアの平均年収は日本の平均年収を上回っており、年収1,000万円も夢ではありません。
ロボット関連のスキルや知識を磨けばキャリアアップへの道も開き、高収入へ近づけます。このように高みを目指していけるのも、ロボットエンジニアのやりがいであるといえるでしょう。

まとめ

ロボットエンジニアは設計や開発のみならず、実証やメンテナンスなどロボットに関わる多くの業務を担います。
専門的な知識やスキルが必要でありきついと思われがちですが、それ以上にやりがいもたくさんあります。そのため常に最先端を目指し、知識やスキルを磨きたい方にはおすすめの仕事です。
未経験からロボットエンジニアになりたいなら、まずは今回紹介した資格を取得し、着実に目指しましょう。