飲食店の人手不足の原因とは?解消する方法6選を紹介

従来より飲食店において、問題となっているのが「人手不足」です。人手が足らないため、時短営業を余儀なくされる飲食店も多いでしょう。
そこで今回は、飲食店の人手不足の原因と解消方法を紹介します。この記事を読むと、飲食店の人手不足を根本的に改善する方法を理解できます。
人手不足でお困りの飲食店オーナーの方は、ぜひ参考にしてください。

飲食店の人手不足は深刻

飲食店の人手不足は年々、深刻さを増しています。
実際、帝国データバンクの人手不足に関する調査では、以下のように2022年から2023年にかけて人手不足の割合が正社員・非正社員ともに6割以上と、高水準で不足状態が続いていることがわかっています。

雇用形態 2021年1月 2022年1月 2023年1月
正社員 25.0% 65.1% 60.9%
非正社員 34.4% 76.6% 80.4%

参照人手不足に対する企業の動向調査(2023 年 1 月)/帝国データバンク

上記のように、飲食店の人手不足割合は高く、人手不足は深刻だといえるでしょう。

飲食店の人手不足の背景と原因

では、飲食店の人手不足にはどのような背景と原因があるのか解説していきます。

背景

飲食店の人手不足の背景には、感染症の影響が挙げられます。近年の感染症流行によって、働き手の「飲食店離れ」が進んでいます。野村総合研究所の調査によると、感染症の蔓延でシフトが減少したパート・アルバイトのうち、転職意向がある方は女性で49.6%、男性で61.4%と、男女ともにほぼ半数以上が転職を希望しているとの結果でした。

また、人材定着率の低さも背景の一つです。2017年度の卒業者における3年以内の離職率を調べた厚生労働省の調査では、飲食サービス業の割合が第1位でした。大卒では52.6%、高卒では64.2%と新卒の半数以上が3年以内に離職しており、人材の流出が止まらない状況となっています。

原因

飲食店の人手不足の原因には、従業員に対する負担や福利厚生などが挙げられます。次の項から詳しく解説します。

従業員の負担が大きい

飲食店では、従業員1人あたりの負担が大きくなる傾向にあります。シェアダインの調査によると、飲食店で料理人の経験を持つ多くの方が、サービス残業や勤務時間の長さが原因で、働きづらいと感じています。従業員の許容範囲以上に負担が大きく働きにくい環境では、定着率が上がらず人手不足が進んでしまいます。

給料と労働のバランスが合わない

給料と労働のバランスが合わないと、モチベーションを保つのが難しく離職を促してしまうため、人手不足が進みます。厚生労働省の調査によると、外食産業で働く正社員の給与は労働量に対して低いことが明らかになっており、注意が必要です。

福利厚生に納得いかない

福利厚生の内容が充実していない場合には、従業員の働くモチベーションが低下します。特に、有給休暇は非常に重要な福利厚生で気軽に取得できないと、離職を促し人手不足を加速させてしまいます。

クレーム対応や接客の負担がある

クレーム対応や接客は、従業員のストレスの大きな原因です。過剰な接客サービスは従業員の精神や身体に負担をかけ、離職の原因となるため注意しましょう。

飲食店の人手不足を解消する方法

飲食店の人手不足を解消するには、賃金の引き上げやIT・ロボットの活用などの方法があります。次の項から詳しく解説します。

福利厚生の見直し

福利厚生が充実すると労働環境を改善できるため、人材の確保につながります。従業員のニーズが高い福利厚生は、従業員が働きやすい環境を実現できます。他社と比べて働きやすい環境が強みとなり、求人応募が増加するでしょう。

採用の幅を広げる

求職者が少ない場合には、障がい者雇用など採用の条件や範囲を広げるのもよいでしょう。採用の条件や範囲を広げると、今まで求人に応募できなかった求職者が応募できるようになるため、採用数が増え人手不足の解消につながります。

人材育成の強化

新人向けの教育制度など人材育成の強化も、従業員の定着率向上につながるため人材不足の解消に有効です。新人教育でのトラブルが少なくなり、職場の人間関係が向上し、新規採用者の早期離職を防げるからです。

多様な人材の採用

国籍や年代の枠を超えた採用活動をすると、人材不足の解消につながります。日本語が流暢な在留外国人や留学生、コミュニケーションスキルタスク遂行能力の高いシニア世代を採用できれば、貴重な戦力になります。

賃金の引上げを検討する

賃金の引上げは、従業員のモチベーション向上に効果的です。他社の給与と比べて高いと働くモチベーションの一つになり、既存の従業員が長く働きがいのある環境を実現できるだけでなく、新規雇用者の獲得にもつながるでしょう。

IT・ロボットの活用

人手不足を解消するうえでは、ITの導入も効果的です。IT機器の導入により業務の時間が短縮され、少ない人員でも現場を回せるようになるからです。
また、ロボットの活用は人手不足の解消に役立つだけでなく、配膳業務の簡略化など働いている従業員の身体的な負担軽減も可能です。

参照飲食店での配膳ロボットを導入するメリットとは?おすすめのロボットも紹介

まとめ

飲食店の人手不足の背景には、感染症の影響と人材定着率の低さが挙げられます。人手不足を解消するためには、福利厚生の見直しや多様な人材の採用、IT・ロボットの活用が有効です。特にロボットには人手不足の解消だけでなく、働いている従業員の身体的な負担にも役立ちます。
人手不足の解消を目指す場合には、ロボットの導入を積極的に検討するとよいでしょう。