RPAの導入・活用事例12選を会社別でわかりやすく解説

RPAを導入すればさまざまなメリットが得られることから、あらゆる業界で活用が進んでいます。
今回は、RPAの活用事例やメリット・デメリット、導入ポイントについてわかりやすく解説します。この記事を読めば、RPAを導入する判断がしやすくなります。RPAの導入に悩んでいる方は、ぜひ最後までご覧ください。

RPAとは

RPAとは、定型業務やカスタマーサポート業務など、パソコンで行う単純作業を自動化できるシステムです。

RPAにより業務の自動化を実現すれば、人的ミスの軽減や作業品質の均一化につながります。また、ロボットが24時間365日働いてくれるので、社員の労働時間の削減につながり、より働きやすい環境づくりにも貢献できます。

このようにRPAは、会社にも社員にもメリットをもたらす画期的なシステムです。

RPAの活用事例12選

RPAの活用事例を以下の3つに分けて解説します。

  • 業界別
  • 部門別
  • 業務別

自社の業界や部門、業務に近い事例を参考にしてください。

業界別

まずは、以下の4つの業界別に、RPAの業界別の活用事例を解説します。

  • 中部ガス株式会社(インフラ業界)
  • GMOクリニック証券会社(金融業界)
  • 野村不動産パートナーズ株式会社(不動産業界)
  • 株式会社リコー(商社)

上記と同じ業界でRPAの導入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

中部ガス株式会社(インフラ業界)

都市ガスを提供する「中部ガス」は業務効率化を目指し、2017年9月にRPAツール「BizRobo!」をテスト導入を開始しました。
現在中部ガスでは、気温データの取得作業やExcelから業務システムへの登録業務など、約20種類の業務の自動化に活用しています。
RPAを導入した結果、年間およそ750時間以上の余力を創出し、ほかの重要な業務に時間を割けるようになりました。

GMOクリック証券会社(金融業界)

インターネットでの投資環境を提供する「GMOクリック証券」では、業務改革を組織風土として根付かせるために、2017年初頭からRPAツール「BizRobo!」を導入しました。
GMOクリック証券がRPAを導入している業務内容は幅広く、証券業務や情報システム、経営企画などさまざまな仕事に取り入れています。
またRPAを導入した結果、社員から「この業務もRPAにやってもらった方がいいのではないか」と建設的な提案が増え、社内でのコミュニケーションの活性化につながっています。

野村不動産パートナーズ株式会社(不動産業界)

ビル・マンション管理事業を営む「野村不動産パートナーズ」は、2018年12月にRPAツール「Robo-Pat」を導入しました。
2020年3月時点で41個の業務にRPAを活用し、問い合わせ内容を印刷する業務や、Excel上の物件情報をシステムに転記する業務などの自動化を実現しています。
また住宅事業部や情報システム部など、複数の事業部にRPAを導入した結果、全体で年間1万時間ほどの業務時間の削減に成功しました。

株式会社リコー(商社)

事務機器や光学機器を扱う「株式会社リコー」は、膨大な仕事にかかる負荷の軽減を目的にRPAツール「Uipath」を導入しました。
導入してから約1年間で国内外23社に展開し、国内だけでも製品試験や実験データの取得、実験の工程など、60ものプロセスにUipathを活用しています。
リコーにおけるUiPath導入効果はすさまじく、年間16,000時間の工数削減につながると試算されています。

部門別

RPAの部門別の活用事例として、以下の4つを解説します。

  • 立命館大学(財務部)
  • 西部ガス情報システム株式会社(経理部)
  • 株式会社日本ファシリティ(事務部)
  • 株式会社LIXIL(営業部)

上記の4つの部門でRPAの導入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

立命館大学(財務部)

関西を代表する市立総合大学「立命館大学」は、財務部の業務効率化のために2018年7月からRPAツール「WinActor」を導入しました。
WinActorを活用したのは、年間あたり約25万件発生していた「支払手続きの確定操作」です。結果として、単調な作業を繰り返し行うことによる心理的な負担を軽減できました。

西部ガス情報システム株式会社(経理部)

西部ガスグループの「西部ガス情報システム」では、経理部の社員の仕事量軽減を目的として、RPAツール「RPA×奉行」を導入しました。
4時間もかけていた仕訳入力と入力後のチェック業務を、RPAツールの導入後には5分に短縮できました。
現在では7つのロボットを運用し、省力化にも成功しています。

株式会社日本ファシリティ(事務部)

施設管理事業等を営む「株式会社日本ファシリティ」では、事務部にRPAツール「SynchRoid」を導入しました。
事務部では、基幹システムへ報告書を登録する定型業務に年間あたり約2,000時間かけており、効率の低さが問題となっていました。そこでRPAを導入した結果、2〜3分を要していた作業を効率化し、約20秒に短縮。さらに、人の作業工程がなくなったため、人的ミスもなくせました。
RPAにより、業務の効率化と品質向上の両方を実現した事例です。

株式会社LIXIL(営業部)

不動産事業を展開する「株式会社LIXIL」は、販売予算作成業務における社員の負担軽減を目的に、RPAツール「CELF」を導入しました。
導入前は、部門間で異なるツールを利用していたため、Access上のデータをExcelに落とし込むといった複雑な工程が発生していました。そこでCELFを導入し、予算作成業務のシンプル化に努めました。
導入後は、マスターを変更するだけで完了できるようになり、1年で3,490時間分の削減につながっています。

業務別

RPAの業務別の活用事例として、以下の4つを解説します。

  • 中外製薬(研究開発業務)
  • 株式会社セプテーニ(デジタルマーケティング)
  • 鹿児島県奄美市役所(給付金システム)
  • 株式会社芝パークホテル(売上データ収集業務)

上記の4種類の業務でRPAの導入を検討している方は、参考にしてください。

中外製薬(研究開発業務)

大手製薬メーカー「中外製薬」は、研究開発業務にRPAツール「Uipath」を導入しました。RPAを導入したのは、海外の新しい研究論文をピックアップする業務です。
このように、社員がコア業務に集中できるように、研究開発の補助業務にRPAを導入する事例も増えてきています。

株式会社セプテーニ(デジタルマーケティング)

企業のデジタルマーケティング活動を支援している「株式会社セプテーニ」は、マーケティング業務の効率化のために、2019年6月からRPAツール「BizteX cobit」を導入し始めました。
膨大な広告データの取得にRPAを導入し、1ヵ月あたり600時間分の業務をロボットが行えるようになりました。そのため、社員がほかの業務に注力できるようになり、生産性の向上につながっています。

鹿児島県奄美市役所(給付金システム)

鹿児島県奄美市役所は、約23,700世帯への特別定額給付金の給付を効率的に行うために、RPAツール「WinActor」を導入しました。
RPAを導入した結果、約27,000件の申請を短期間で給付金システムに自動登録できるようになったり、申請から最短4日で給付が可能になったりと、多くのメリットを得ています。

株式会社芝パークホテル(売上データ収集業務)

宿泊業を営む「株式会社芝パークホテル」は、売り上げデータの収集業務を効率化するために、RPAツール「Robo-Pat」を導入しました。
芝パークホテルはRPAで、売上金管理システムの登録額と現金徴収額のデータ照合や、売上の内訳をExcelの管理表に転記する業務を自動化しています。
さまざまな業務にRPAツールを導入した結果、月間22時間の工数削減に成功しています。

RPA導入のメリット・デメリット

ここでは、RPA導入のメリット・デメリットを解説します。
RPAのメリット・デメリットを把握すれば、導入する判断材料になります。ここで解説する内容を参考にし、RPAの導入を決めましょう。

メリット

RPAを導入するメリットとして、以下の3つが挙げられます。

  • 手作業を自動化できる
  • コスト削減につながる
  • スケジュールの短縮につながる

RPAを導入する大きなメリットは、手作業の自動化ができる点です。経費精算業務や売掛金の処理業務などを自動化できれば、その分ほかの仕事に打ち込めるようになります。
また社員の代わりにロボットが業務を行うため、人件費が浮きコストの削減につながります。
さらに、RPAを導入すれば24時間365日稼働できるので、その分仕事が早く終わらせられるようになり、業務スケジュールの短縮が可能です。

デメリット

RPAを導入するデメリットとしては、以下の2つが挙げられます。

  • 運用を開始するまで時間がかかる
  • すべての業務に対応できるわけではない

RPAを導入する際には、運用を開始するまでに時間がかかってしまいます。ツール選びや、RPAに関する知識の習得などが必要になるからです。
またRPAは、ルール変更が発生しやすい業務や、手順が複雑な業務には機能上対応できません。そのためRPAが適用できる業務を見極めたうえで、社員が対応する業務と使い分けるとよいでしょう。

RPAの導入ポイント

RPAを導入するうえで大切なポイントは、以下の3つです。

  • 目標と指標の明確化する
  • 野良ロボット対策をする
  • テスト導入をする

RPAを導入する際は、目標と指標の明確化をしておく必要があります。目標と指標を明確化していなければ、成果がわからないからです。そのためRPAの導入成果を把握するために、成果の基準を定めておくとよいでしょう。

また、「野良ロボット」対策も大切です。野良ロボットを放置すると、別のRPAロボットの邪魔をしたり、不要な動作をしてシステムに余計な負荷をかけたりしてしまいます。野良ロボットを発生させないためにも、あらかじめ社員間でロボットを共有し合える仕組みを作りましょう。

またRPAの導入を成功させるうえで、テスト導入も重要です。動作確認後に決定したほうが、導入に失敗するリスクを軽減できるからです。RPAツールのなかには無料トライアル期間を設けているものもあるので、積極的に利用するとよいでしょう。

まとめ

RPAの導入により、多くの企業で業務時間の大幅な削減やスピーディーな業務対応が実現できています。
本記事で解説した事例を参考に、RPAの導入を進めていきましょう。