水平多関節ロボット(スカラロボット)とは?その特徴から利用用途・開発メーカーなどを解説

一連の関節を持つアームを備えた水平多関節ロボット(スカラロボット)について、特徴や活用している業種、導入の際の相場などを整理しました。

水平多関節ロボットとは

水平多関節ロボットは、一連の関節を持つアームを備えたロボットで、横方向に動く能力を持っています。一般的には、工業用途や自動化システムで広く利用されており、その特徴や利用用途については以下の通りです。

水平多関節ロボットの主な特徴

多関節構造

水平多関節ロボットは、複数の関節を持っているため、高い機動性と柔軟性を誇ります。これにより、さまざまなタスクを効率的にこなすことができます。

高い精度

この種のロボットは、高い精度と繰り返し性を持っています。これにより、高精度な作業や連続したタスクを効果的に実行できます。

プログラム可能性

水平多関節ロボットはプログラム可能であり、タスクや作業条件に応じて容易に再設定できます。これにより、多様な用途に対応可能です。

水平多関節ロボットの主な利用用途

組み立て

水平多関節ロボットは、製品の組み立てラインで広く使用されています。関節が多いため、難しい角度や位置での作業も可能です。

ピッキング&プレース

高速で正確な動作が求められるピッキング&プレース業務に適しています。食品加工業や電子部品の組み立てなど、多くの分野で利用されています。

溶接・塗装

自動車や航空機の製造業界では、水平多関節ロボットが溶接や塗装作業に使用されています。これにより、労働者が危険な環境にさらされることなく、高品質な製品が生産できます。

検査・品質管理

高い精度と繰り返し性を活かし、製品の検査や品質管理にも使用されています。これにより、人間が行うよりも正確で効率的な検査が可能になります。

これらの特徴と利用用途により、水平多関節ロボットは工業分野を中心に幅広く活躍しており、効率的で柔軟な自動化システムを実現可能です。

水平他関節ロボットの活用業種

水平多関節ロボットは、その柔軟性と高い精度から多くの業種で活用されています。以下にいくつかの主要な業種を挙げます。

自動車産業

自動車の製造・組み立て工程で、溶接や塗装、部品の取り付けなどに水平多関節ロボットが利用されています。

電子機器・半導体産業

高い精度が求められる電子部品や半導体の組み立て・検査作業で、水平多関節ロボットが幅広く活用されています。

食品加工業

ピッキング&プレース作業や包装・梱包作業において、水平多関節ロボットが速度と正確性を発揮して活用されています。

医薬品・バイオテクノロジー産業

実験や試験の自動化、製品の組み立てや梱包作業において、水平多関節ロボットが活用されています。

ロジスティクス・倉庫業

倉庫内での商品の仕分けやピッキング作業、パレタイジング(パレット積み)などに、水平多関節ロボットが利用されています。

金属加工・機械工業

機械部品の加工や組み立て、品質検査などの作業で、水平多関節ロボットが活用されています。

プラスチック・ゴム産業

成形品の取り出しや組み立て、検査作業において、水平多関節ロボットが利用されています。

これらの業種をはじめ、さまざまな産業分野で水平多関節ロボットが活用されており、効率的で正確な作業を実現しています。

水平多関節ロボットの主なメーカーと特徴

水平多関節ロボットは、世界中の多くのメーカーが開発・製造しています。ここでは、いくつかの代表的なメーカーとその特徴を紹介します。

ABB(スイス)

ABBは、産業用ロボットの分野で世界的に有名なメーカーであり、高品質な水平多関節ロボットを提供しています。ABBのロボットは、高い精度と速度、柔軟性を備えており、さまざまな業種で利用されています。

ファナック(日本)

ファナックは、産業用ロボットのリーディングカンパニーの一つであり、高い信頼性と性能を持つ水平多関節ロボットを開発しています。ファナックのロボットは、電子部品や自動車業界など幅広い分野で活躍しています。

KUKA(ドイツ)

KUKAは、ドイツを拠点とする産業用ロボットのメーカーで、革新的なデザインと技術を持つ水平多関節ロボットを提供しています。KUKAのロボットは、高い耐久性と汎用性を備えており、多様な用途で利用されています。

ヤスカワ電機(日本)

ヤスカワ電機は、日本の大手ロボットメーカーであり、モトマンブランドで水平多関節ロボットを提供しています。ヤスカワ電機のロボットは、高い精度と繰り返し性を持ち、さまざまな業界で使用されています。

Universal Robots(デンマーク)

Universal Robotsは、デンマークのロボットメーカーで、コラボレーティブロボット(共働ロボット)として知られる水平多関節ロボットを開発しています。同社のロボットは、人間と共同作業が可能で、中小企業などでも手軽に導入できる利点があります。

各メーカーはそれぞれ独自の技術や特徴を持っていますが、共通して高い精度、速度、柔軟性を備えた水平多関節ロボットを提供しています。選択する際には、使用する業界や作業内容、予算などを考慮して、最適なメ

水平多関節ロボット導入の相場

水平多関節ロボットの価格は、ロボットのサイズ、機能、ペイロード(持ち上げることができる重さ)、精度、速度、メーカーなどによって大きく異なります。また、導入にあたっては、制御システムや周辺機器、プログラミング、設置費用、保守・サポート費用なども考慮する必要があります。

一般的な水平多関節ロボットの価格は、約100万円から約1,000万円程度の範囲で変動します。小型で簡単な作業を行うロボットは、約100万円から約300万円程度で購入できることが多いです。一方、大型で高性能なロボットや特殊な機能を持つものは、約500万円から約1,000万円以上かかることもあります。

また、コラボレーティブロボット(共働ロボット)は、一般的には約200万円から約500万円程度の価格帯で取り扱われています。これらのロボットは、人間と安全に共同作業ができるように設計されており、中小企業でも手軽に導入できるという特徴があります。

導入費用だけでなく、維持・運用費用やトータルコストも考慮したうえで、工場のニーズや予算に合った水平多関節ロボットを選ぶことが重要です。また、メーカーや販売代理店と相談し、導入前のデモンストレーションや試運転を行うことで、適切なロボット選びに役立ちます。

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