自社の業務効率向上を目的に、直交ロボットの導入を検討している方も多いでしょう。
今回は、直交ロボットの概要や導入するメリット・デメリット、おすすめのメーカーを紹介します。本記事では、直交ロボットの導入に必要な情報をまとめているので、導入時の判断材料として役立つでしょう。
直交ロボットの導入を検討中の企業の皆さまは、ぜひ最後までご覧ください。
目次
直交ロボットとは
直交ロボットとは、2〜3つの交差するスライド軸で構成された機械です。直線的な動作をするパーツのみで構成され、製造業の組み立てや搬送業務、商品加工まで幅広い用途で活用できます。
また、直交ロボットは単純な構造をしているため、設置環境に応じた設計変更が容易です。
直交ロボットの特徴
直交ロボットは各々の軸が独立して動作をするため、ほかの産業用ロボットと比較してメンテナンスが容易です。したがって、直交ロボットはメンテナンスにかかるコストを抑えられます。
また、直交ロボットは構造がシンプルで、比較的制御が簡単です。そのため、ズレを最小限に抑えられるため、高精度な位置決めができます。
直交ロボットでできること
直交ロボットでできることとして、部品の組み立て作業や搬送が挙げられます。例えば、崩れやすい食品や繊細な扱いが求められる商品の搬送工程で、主に活用されています。ほかにも、直線的な動きが必要とされる作業が得意です。
直交ロボット導入のメリット・デメリット
ここでは、直交ロボットを導入するメリットとデメリットを紹介します。メリットとデメリットを理解したうえで、直交ロボットの導入を検討してください。
メリット
まず、直交ロボットを導入するメリットを3つ紹介します。直交ロボットの導入によって、どのような効果をもたらすのかを理解しましょう。
高精度な位置決めが可能
直交ロボットは制御が必要な軸が少ないため、高精度な位置決めができます。例えば、オリムベクスタ株式会社が開発した「電動スライダX-Y・X-Y-Z」では、位置決め誤差±0.01に抑えられます。
ほかのロボットと組み合わせて使いやすい
ほかのロボットと組み合わせて使いやすい点も、直交ロボットを導入するメリットといえるでしょう。
例えば、直交ロボットと単軸ロボットを同時に動作させた場合は、単軸ロボット単体よりも長い距離に商品を搬送できるようになります。この例のように直交ロボットとほかのロボットとの組み合わせにより、ロボット間の連携をより密にできるため、作業効率の向上が期待できます。
低価格での導入ができる
直交ロボットは、低価格で導入ができるメリットもあります。例えば、エプソン社の多関節ロボット「VT6L」は1,380,000円(税別)以上かかりますが、イグス社の直交ロボット「ドライリンE ルームガントリー」は454,814円(税込)で導入可能です。
そのため低価格で産業用ロボットを導入したい場合は、直交ロボットの導入を検討するとよいでしょう。
デメリット
ここでは、直交ロボットのデメリットを1つ解説します。直交ロボットを導入する適切な判断を下すためには、メリットと同時にデメリットも加味する必要があります。デメリットを理解したうえで、直交ロボットを導入するべきなのかを判断してください。
複雑な作業が苦手
直交ロボットは直進動作しかできないので、複雑な作業ができません。例えば、回転運動が求められるような複雑な作業には不向きです。
複雑な作業をロボット化する場合には、軸数が多く人間の腕のように動作できる「協働ロボットや多関節ロボット」の導入を検討しましょう。
直交ロボットの導入事例
ここでは、直交ロボットの導入事例を5つ紹介します。直交ロボットの具体的な活用方法を理解するためにも、各々の導入事例を参考にしてください。
株式会社北斗園
毛筆と化粧筆の国内シェア8割を占めている株式会社北斗園は、計量からバリ取りまでのすべての工程を手作業で実施していました。しかし、職人の高齢化や毛筆需要の低迷下などの原因によって、自動化と工程にかかるコスト削減への対応が急務でした。
そこで、ソリトンコーポレーション社が開発した「直交型ロボット」を導入。導入によって6人必要だった手作業のラインで2人で業務を回せるようになり、省人化に成功しました。
また、1ヵ月の生産量が3,000本から20,000本にまで増加し、生産能力は最大6.7倍にまで増えています。
株式会社別川製作所
配電盤や制御盤などの製造を行う株式会社別川製作所は、レーザ加工機の板金バラシや仕分け工程の自動化を目指していました。
そこで安川電機社の「MH110」を導入。従来はロボット化が進んでおらず、7,660万円のコストをかけていましたが、導入後は3,347万円までコストを削減できました。また、作業人数は3人から1人まで減らせました。
ギフハイテック株式会社
金型製造を行っているギフハイテック株式会社では、人手不足に頭を悩ませていました。そのため、労働力不足へ対応するために、自動車のコンプレッサー組立検査工程にロボットの導入を検討していました。
そこで、ヤマハ発動機社の直交ロボットや垂直多関節ロボットを導入。工程間の製品移動を自動化できたため、従来のシフトであれば10人の従業員が稼働していましたが、現在では2人の従業員によって業務が回るようになっています。
カンダコーポレーション株式会社
物流業を営むカンダコーポレーション株式会社は、元々紙幣投入機から多関節ロボットを導入していましたが、1日約2,500回も稼働するためエラー故障が度々発生していました。
そこでヤマハ発動機社の「SKYBX-C-F3」を導入。多関節ロボットから直交ロボットへ仕様変更した結果、関節に対する負担の軽減につながってエラー故障の大幅削減に成功しました。また、ロボットのアイドリングタイムが改善され、1回の稼働速度は約5秒向上しました。
東洋航空電子株式会社
航空機用ワイヤ―ハーネスを製造する東洋航空電子株式会社は、電線の行き先ごとの仕訳や配線を従業員主体で行っていました。しかし市場環境の激化に伴い、コストダウンへの対応が急務となったため、手作業工程の自動化に踏み切ったのです。
そこで、ブイ・アール・テクノセンター社の直交ロボット「電線引き伸ばしロボット」を導入。その結果、自動的に仕訳および配線業務ができるようになり、元々14人の従業員で稼働していたものが、12.5人で済むようになりました。
おすすめの直交ロボットメーカー15社
ここでは、おすすめの直交ロボットメーカーを15社紹介します。数多くの直交ロボットメーカーが存在しているため、どこを選ぶべきかと悩んでいる方も多いでしょう。それぞれのメーカーがどのようなロボットを開発しているのかをまとめたので、参考にしてください。
イグス株式会社
イグス株式会社は、低コストなロボット開発に強みを持つ企業です。同社が取り扱う「ドラインEルームガントリー」は、最大6メートル先まで搬送できるように拡張可能です。
株式会社スター精機
株式会社スター精機は、直交ロボットの総合メーカーとして第一線で活躍し続けている企業です。同社が扱う「プレス間ダイレクト搬送ロボット」は270ミリのコンパクト設計で、高速搬送を実現します。
武蔵エンジニアリング株式会社
武蔵エンジニアリング株式会社は、液体材料を精密制御するディスペンスシステムの開発・製造・販売を行う企業です。同社が扱う直交ロボットの「XMシリーズ」は、ライン設計に対する自由度が高く、自動機へ組み込めます。
株式会社ジャノメ
株式会社ジャノメは、卓上ロボットなどの産業機器の製造メーカーです。同社が扱う直交ロボットの「JC-3シリーズ」は、ティーチングペンダントを用いて対話式にティーチングができるため、比較的簡単に導入できます。
ヤマハ発動機株式会社
ヤマハ発動機株式会社は、モビリティとロボティクス事業で豊富な実績を有する企業です。同社の「XY-Xシリーズ」では、重量物の搬送ができるタイプや長距離搬送に対応した対応まで、バリエーション豊かな直交ロボットがそろっています。
オリムベクスタ株式会社
オリムベクスタ株式会社は、時代の変化と共に成長する産業用ロボットの製造・開発を行う企業です。同社の直交ロボットの「THK SKR 2軸/3軸」は、繰り返し位置決め精度が±0.01ミリと非常に高精度です。
安長電機株式会社
安長電機株式会社は、産業用ロボットのライン構想からシステム提案まで一貫してサポートする企業です。同社の直交ロボットの「テーブルトップロボット」は、モーターや軸の種類などニーズに合わせて柔軟に選べるメリットがあります。
芝浦機械株式会社
芝浦機械株式会社は、工作機械や産業用ロボットなどの製造・販売を行う企業です。同社の直交ロボットの「COMPO ARM」では、ボールねじ駆動とタイミングベルト駆動の2種類の駆動方式から選べます。
平田機工株式会社
平田機工株式会社は、自動車や半導体などさまざまな産業分野において生産システムの製造・販売を行う企業です。同社の直交ロボット「MB-N120」は、バッテリーがないサーボモーターを採用しているため、メンテナンス費用の削減につながるだけではなく、環境の負荷も低減できます。
株式会社サンエイテック
株式会社サンエイテックは、デジタル家電から産業用ロボットまで最先端のモノづくりを行っている企業です。同社の直交ロボットの「SCRシリーズ」は、カメラ補正機能を利用することで、設定時間を短縮できるメリットがあります。
株式会社宮山技術研究所
株式会社宮山技術研究所は、電気回路の設計や制御盤の製作を行っている企業です。同社が扱う直交ロボットの「ROM自動挿入装置」は、CMOSレーザーセンサーによってROMの足の曲がりの検査もできます。
安川電機株式会社
安川電機株式会社は、メカトロニクス製品の製造が中心事業の企業です。同社の3軸直交ロボットの「MOTOMAN-UH100N」は、コンパクトな設計になっており、設置場所の制約をあまり受けません。
株式会社アイエイアイ
株式会社アイエイアイは、小型産業用ロボットの開発から販売まで行う企業です。同社が扱う「CRS-XBA」は、合計350ミリの水平と垂直移動が必要な場合に2.07秒で移動できます。
株式会社エスティック
株式会社エスティックは、産業用ロボットや自動組み立てラインの製造・販売を行う企業です。同社が扱う「ねじ締めロボット」は締め付けトルクの種類や搬送面の高さなどを選べて、自社の環境に合ったロボットに調整できます。
株式会社椿本チェイン
株式会社椿本チェインは、動力伝動装置の販売や輸送機械装置の設計を行っている企業です。同社が扱う「ガントリーロボットTM/TSシリーズ」は、自動機など多種多様な工程間の搬送ニーズに適したシステムを実現できます。
直交ロボットの導入方法
直交ロボットを自社に導入する場合は、ロボットSlerを活用してください。ロボットSlerを活用すれば、ロボットを導入するうえで必要な工程をすべて一任できるため、導入する際に感じる不安を軽減できるでしょう。
しかし、ロボットSlerは数多く存在するため、どこへ依頼すればよいか悩んでしまう方も多いでしょう。
ロボファンでは、ロボットSlerを紹介しています。
ロボットSlerでは、導入計画や補助金の相談に対して丁寧にお答えします。直交ロボットの導入で後悔しないためにも、ロボットSlerの活用を検討してみてください。
まとめ
直交ロボットを導入すれば高精度な位置決めが実現できたり、低価格での導入が実施できたりと、さまざまなメリットが得られます。
一方で、複雑な作業に向いていないデメリットが存在することも事実です。直交ロボットのメリットとデメリットを総合的に判断したうえで、導入を進めてください。