機械学習を導入した製造業ラインの従業員“見守り”という新たな働き方改革アプローチ

リアルタイム検索エンジンやログ解析といったソフトウェアを提供するElastic社が11月14日、都内で「Elastic機械学習製品説明会」を行いました。当日は同製品のプロダクトマネージャー、トム・グラボースキー氏が来日し、製品について説明。また、同製品を日本国内で利用しているAIインテグレーター、ブローダービズ株式会社のCCO、青木誠氏が導入事例を発表しました。

情報通信技術コンサルティングを主な事業としているブローダービズは、日本の食品における製造現場に着目。青木氏は「異物混入などの抑止として、労働環境の見直しが注目されている。また、働き方改革として従業員の健康や安全の見守りをどう実現させるかも課題」とし、「製造現場は従業員が同じ帽子や制服を着用しており、個人の特定が難しい。24時間管理し、フォローアップするのにElastic機械学習が適している」と話しました。

Elastic機械学習は、リアルタイムアプリケーション内においてどのような時系列データでも自動的に異常を検知するもの。予測ポイントを設定し、実際の数値と乖離があれば異常としてアラートが通知されます。機械学習により、異常の度合いを精緻化。より精度の高いアラート通知が可能です。

骨格構造と振る舞いを時系列にデータ化

ブローダービズはまず、検知したい異常を定義。「体調不良などの健康上の異常(うずくまる、倒れるなど)」、「日常業務範囲では取り得ない行動(行動パターンと比較して逸脱していないかどうかで判断)」、「事故などの不測の事態(姿勢や移動量、行動パターンからの逸脱などで判断)」を挙げ、インシデントに登録します。

従業員の行動は監視カメラで見守り。骨格を分析しIDを付与させます。また、鼻、首、腰の骨格座標を設定し、ダッシュボードで一元管理。これにより、いつどこで、誰が何をしているかを把握できます。登録した異常事態の際は、アラートが出る仕組みです。

今回のシステム導入について青木氏は「まず、実際に働いている製造現場を模したスタジオで従業員の骨格や行動データを収集した後、実践に導入した。精度を上げるには、一定のデータ量と期間が必要となる。Elastic機械学習は1ヶ月以上あれば精度が高まる傾向にある」と述べました。

機械学習や画像解析技術を応用したこのシステムにより、人間の目では把握が難しい個人を特定し、24時間体制で従業員の行動を見守ることが可能となりました。IT技術によって人の安全を守るという、新しい働き方改革へのアプローチです。