Eコマースの大手Amazonの「Prime Air」をはじめ、様々な場面で活用が始まっているドローン(無人小型飛行機)。
この記事では、今後活発化してゆくドローンの民間ビジネス利用について、そのメリットとデメリットについて考えてみましょう。
ドローン活用の「今」
矢野経済研究所が実施した調査によれば、ドローンの世界市場は急速に拡大しており、2015年における世界市場規模は、1兆2410億円にのぼるといいます。
また、2015年から2020年にかけては年平均成長率12%で推移し、2020年には2兆2814億円に到達する見込みです。
利用目的別に見ると、調査時点では軍事用が過半数を超えました。
しかし、産業、ホビー、サービスにおけるドローンの活用は確実に増加しつつあり、2020年には軍事用と民間用がほぼ半々になると予測されています。
ちなみに、民間用ドローンの主要マーケットはアメリカや日本をはじめとした先進国ですが、こうした国々においてドローンをめぐる法律や規制は現在のところ発展途上にあり、これが民間利用の促進を阻む一つの壁ともなっています。
ドローンの活用シーン
ドローンの民間利用として、昨今特に話題を集めているのが、商業分野における活用です。
Amazonの「Prime Air」や楽天の「そら楽」をはじめとして、商品の配達にドローンを活用するという試みが広がりつつあります。
とはいえ、商業分野だけがドローンの舞台というわけではありません。
産業、ホビー、サービスなどの領域でも盛んに活用方法が模索され、ユニークなところでは、2016年4月に米国のフロリダ大学で「ブレイン・ドローンレース」という大会が開催されました。
そのほかにも、広大な農地への施肥などをはじめとした農業調査や、野性動物保護を目的とした調査活動、工場や倉庫内での物品の移動・運搬など、様々な分野でドローンが活用されはじめています。
ドローンの商用利用における利点と問題点
ドローンを商用利用する上での利点としては、下記3点が挙げられます。
- 人件費の節約
- 作業の効率化
- 人間には入り込むのが難しい場所での作業が可能
自律型のドローンに商品の配送を任せることができれば、運送会社を利用するのに比べて、大幅に物流コストを抑えることができます。
ドローンは渋滞とはほぼ無縁の空路を利用し、最短距離で目的地へたどり着けるため、陸路での運送よりも圧倒的に短時間での配達が可能となります。
企業にとってはコスト削減に繋がり、顧客には「欲しいものがすぐ届く」というメリットを提供できるというわけです。
一方で懸念されるのは、飛行の安全性に関する問題でしょう。
これには、ドローン自体が安全に飛行して目的地にたどり着けるかという問題と、有人飛行機や人、建物などとの接触事故を起こす懸念があるという問題とが含まれます。
たとえば配達中に木や電柱に衝突して墜落すれば、顧客の元へ商品が届きません。
また、重い荷物を運搬中のドローンが落下すれば、深刻な事故につながる恐れもあります。
こうした様々な問題があり、ドローンをめぐる法律や規制の整備はまだまだ発展途上であると言えます。
現在進行形で徐々に規制の緩和なども行われつつありますが、当面は有用性と問題点とをにらみつつ、試行錯誤が続くでしょう。
ドローンが塗り替える人類の未来
ドローンは、私たちの生活に劇的な変革をもたらす大きな可能性を秘めたツールです。
しかし、たいていの新しいテクノロジーがそうであるように、ドローンがもたらすであろう変化にはポジティブとネガティブの両面があります。
私たちはその点を念頭に置いた上で、この新たな技術を暮らしに役立てていく方法を模索していく必要があります。
愛すべき小さな飛行機「ドローン」が世界をどんな色に塗り替えていくのか、今後の成り行きを楽しみに見守りたいですね。
<参考サイト>
- http://www.sv-comm.com/sub258.htm
- https://business.bengo4.com/category3/article7/
- http://compassmag.3ds.com/jp/5/BUSINESS/node_1403
- https://www.yano.co.jp/press/press.php/001568
- http://gigazine.net/news/20160119-amazon-prime-air-question/